スモーク

三角

第1話 チャレンジャー

俺は今日もSNSで仲良くなった女性と行為に及ぶ。

名前は絵梨、スタイルはあまり良くなかったが、顔だけでそこらの男は満足する程には可愛らしい顔だった。

経験は2回目だというがその割にテクニックがあった


ふぅ、

輝く街並みに煙草の煙が消えてゆく。

「煙草、吸うんですね」

後ろから絵梨が話しかけてきた。

 「ええ、まあ」

「煙草吸う男性ってかっこいいです」

 「そんなこと言う人珍しいですよ」

「確かに、まさに煙たがられてますからね」

絵梨は煙草を吸い続ける俺を黙って見ていた。

 「椎名さんって絶対優しい人ですよね」

突然絵梨が俺の横顔を眺めながら言った

「優しい人って出会い系で出会った人とワンナイトラヴします?」

 「でもセックスが優しかったですから」

「はあ、そうですか」

絵梨はまだ煙草を吸う俺を見つめていた。

 「椎名さん、煙草一本くれません?」

「いいですよ」

絵梨に一本煙草を渡すと俺は自分の煙草の火を彼女の煙草に移した。

慣れない手つきの彼女をヒヤヒヤしながら見ていると彼女は煙を思いっきり吸い込み、そして咽せた。

 「ゲホ…ゲホゲホ…」

「大丈夫ですか?」

 「ゲホ…ええ、大丈夫です、すいませんすいません、初めてだったので」

「え、初めてだったんですか?煙草なんて吸うもんじゃないですよ」

喫煙者の言うセリフではないが。

「いや、今ので容量は掴めました、次は吸えます」

絵梨は俺の言ったことに一切耳をかさずにそう言った

その言葉通り、絵梨はしっかりと煙草を吸った。

 「ほら、吸えたでしょ」

絵梨は自信満々のドヤ顔で言った。

「器用なんですね」

俺がそう言うと絵梨は煙草をもうひと吸いして言った

「私器用ですよ、でも、なんでもすぐに出来ちゃって面白くもないんです」

絵梨はまた煙を吸った

 「昔からなんだってすぐに人並み以上にこなせちゃって、スポーツとか、遊び

  とか、セックスとか、ああ、あとこの煙草もそうですね」

「でもそれっていい事じゃないですか、何もないよりマシなんじゃないですか」

 「そうかもですね、でも、そのせいでみんな私を恨んだんですよ。

  だから私は何もしないって決めたんです」

絵梨の表情が才能が故の苦悩を表していた。

 「そんな時に初めてセックスしました。はっきり言うと最高でしたよ。セック

  ス」

「天才美少女の行く末はセックスですか…」

 「あ、別に快楽に溺れてるわけじゃないですよ。セックスを通じて分かった事

  があるんですよ」

「ほうほう、なんなんですか?」

 「やっぱりやってみなきゃわかんないなって」

絵梨はそう言って笑た。

 「ヤってみなきゃわかんないんですよ、セックスは。正直、椎名さんってドSだ

  と思ってたんですけど意外と…」

「言わなくていいいです」

 「まあ、何事もセックスといっしょだって思いました。

  やらなきゃ中身も何もわからないなって」

「それをセックスから学んだと…」

 「そうです、だから、今は何事にも挑戦中です!」

そう言って絵梨は煙草を見せてピースサインした。

絵梨の表情は美しいくらいに晴れ渡っていた。


「今日はありがとうございました」

絵梨はそう言って律儀にお辞儀をした。

 「そういえば、絵梨はセックスはやめないの?

  絵梨、セックスめっちゃうまかったし飽きないの?」

「やめませんよ、だって、

 椎名さんみたいな人と出会えますから!」

そう言って絵梨は夜の街に吸い込まれていった。


キラキラとした良い娘だったなあ

はぁ、煙草買って帰ろ。

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