かつて僕が泊めた美少女妖怪を見て以来、彼女の挙動が怪しい件について

斑猫

第0話 縁は案外繋がる物だ

 二度ある事は三度あるらしいけれど、一度あった事から二度目に移行する事は実はとても珍しいケースらしい。

 そうなれば、またしても美少女妖怪たちとの縁が出来た僕のケースはとても珍しい事だったのだろうか。それとも元々からして妖怪は僕らのすぐ傍に居たという事なのかもしれない。もしくは少し前から流行りの引き寄せの法則が成立したとか?


……正直に白状しよう。新しい彼女が出来てからも、僕は実は心の底で彼女らに会う事を望んでいたのだ。僕は人間で、彼女らはそれぞれ妖狐と雷獣だった。妖怪だから種族は違う。生物学的に言えば別種の生物たちだった。とはいえ、妖狐である京子ちゃんの清楚で可憐な姿や、雷獣である六花ちゃんのあけすけで懐っこい態度に魅力を感じていたのは本当の事である。


 そういう思いがあったから、僕はまた彼女に出会う機会を得てしまったのかもしれない。しかし、その日その瞬間を境に、新しい恋人である賀茂さんの挙動が怪しくなったのもまた事実である。

 別に賀茂さんは妖怪を恐れていた訳ではないと思う。彼女も妖怪にかなり興味があって、アトラというオカルト雑誌を担当するオカルトライターなのだから。

 そうなるとやはり、僕が他の女の子――それも妖怪と言えど美少女だ――に目移りしているから不安になっているのだろう。そりゃあ彼氏が上の空になったらそんな態度になってしまうだろう。


 僕がまたしてもあの美少女妖怪との縁が出来てしまったのは、ある土曜日の夕方の事だった。そう、異形が跋扈するという逢魔が時の出来事なのだ。

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