ホラー好きなオレがホラーについて考える
鯖人 サバト
第1話 幽霊屋敷と人類の叡智
俺は幽霊に会いたい。
そう思い始めたのは中学生の頃。俺は幼い頃からいわゆるホラー作品というジャンルに目が無かった。ジャパニーズホラーというジャンルは特に強く印象に残っていた。
もはやこのジャンルの説明はするまでもなかろう。母や姉はいわゆる"幽霊"が出てくると目を覆ったり悲鳴をあげたりそれはもう賑やかなこと。父は威厳というものがあるのかリアクションこそないが時折よそ見をしていたり。今思えば可愛い一面だったのかもしれない
しかし俺は違っていた。
俺はその時、食い入る様に見ていた。それもキラキラした目で。まるで朝のヒーロー番組を見るかのごとく。当時は家族に恐怖という感情が分かっていないのだろうと思われたようで、俺自身もよく分かっていなかったのかもしれない。
しかし、中学に入ってそれは明確になった。
単純に疑問だったのだ。いわゆる彼ら幽霊達が、何を思い、何がしたいのか。どんな未練を抱えてこの世を去ったのか。
それに加えて多少の怒りも抱いていた。
例えば幼い頃見た作品では未練を残して死んでいった母親と子供が住んでいた家に地縛霊として居座っていた。その後廃屋と化したその家にひょんな事から主人公達は住む事になるのだ。そして主人公達は呪われ、彼女らに私生活を脅かされることになるのだが、
ここで一つ疑問があった。
主人公達は空き家になったその家に"住んだ"だけなのだ。
彼女たちに直接危害を加えた訳ではない。なんの謂れがあって主人公達は呪われたのか。これでは理不尽極まりない。全くもって八つ当たりである。それに加えて彼女らの呪いの効力の範囲も曖昧なのが実に腹立たしい。作中ではその屋敷に"踏み入った者"は呪われるとされているが、
ではその「踏み入る」とはどのような状況のことを言うのだろうか。敷地内に入ったら?門を開けたら?玄関のドアを開けたら?ここが曖昧だと例えば作中では敷地入口の門は半開き状態で、庭の柵に手を入れるだけでも体の一部は敷地に入った事になる。これでは道ゆく無関係の人間も呪われてしまう可能性もある。さらにさらに呪われるのは人間だけではなく、作中ではネコも呪われる。と言うことは屋敷に入った虫や野生動物も呪われるという事で、その効果範囲も曖昧なのであれば敷地上空を飛ぶカラスやハトと言った鳥類や更にその上を飛ぶ飛行機の乗員乗客も皆んな呪われる訳で……
以上の様なことは考え出すとキリがない。そこで俺はついに幽霊に会い、その真相を問いただしたくなったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます