ファースト・スターと

あめはしつつじ

第1話

 コールドスリープのアラーム。

 ゆりかごの目覚め。

 世界に響く唯一の音を僕は止める。

 磨かなくていい歯を磨き。

 洗わなくていい顔を洗う。

 太陽はもう無いけれど、僕は朝食を食べる。

 one small step for mankind.

 人類にとって小さな一歩を僕は歩む。

 この星もまた、誰もいない。

 生命反応、生体遺物反応、共になし。

 生命の誕生しない、白鳥の首フラスコの中。

 僕は星から質量を採取し、次の星へ向かう。

 ワールドリープのアラート。

 この船はもう、ただの棺桶だ。

 太陽はもう無いから、僕は夕食を食べる。

 磨かなくていい歯を磨き。

 洗わなくていい顔を洗う。

 燃料庫の質量を収縮させる。

 宇宙に響く唯一の音で僕は止まる。

 startの一つ前、starsに、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ファースト・スターと あめはしつつじ @amehashi_224

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ