ぽこさんと忍ちゃん

もりくぼの小隊

出会い


 おーい、兄貴おるか〜。勝手に借りた漫画を返しに……ん、お兄さん誰?


 え、兄貴の友達?

 へ〜兄貴にも友達いたんだぁ、いが〜い。


 あ、いやいや、お兄さんがなにか悪いとかではなくてですね、うちの兄貴てばさぁ、わかるじゃないですかぁ付き合い長いと。


 あれ、よくわからない?

 あぁ、なるほど〜さすがは兄貴の友達てことなんだなぁ。


 お、とと、肝心の兄貴がどこいったかは知んないですけど。この漫画、ここに置いとくて言っておいてください。


 うん、そう勝手に借りたやつ。

 へ〜、お兄さんよくわかりますねぇ。エスパー?

 ぇ、わたしが言ってた?

 ありゃあ、ついと口走っておったかぁ。気づかなんだなぁ独り言ぉ。と、まぁそれはそれとして、兄貴が帰って来る前にわたしは退散します。


 では、さらば〜……てかお兄さんがやってるその怖そうなゲーム。面白いんですか?



 お〜、なるほど〜、ローリングてやつでタイミングを合わせればその間は無敵てやつなんだ〜。

 いや〜、お兄さんのキャラがほぼ素っ裸でどんな縛りプレイなんだよマゾなんかぁ? と思ってしまいましたが、謎は溶けてスッキリしましたよぅありがとうございましたぁ。


 いやほんとこんな小娘に時間割いてもらっちゃってお兄さんの優しさが染みわすわぁ。


 あ、そうだ、お礼と言っちゃあなんですがねぇ……はい? こっちも好きなゲームに興味持って貰えて嬉しかったし楽しかったからお礼はいらないですと?

 ちょ〜ちょ〜お兄さんよぅ、それではねぇ、あっしの気がすまないてもんですわぁ。


 と、いう冗談はさて置きまして、いやぁわたし実はですね飲食店でバイトなるものをしておりまして、ちょちょっと売り上げに貢献していただければなぁとゲスい事を思っておりまして、えへへへ。


 いやいや、これはねお兄さんにだから言っておるんですよ。だれかれ構わずというわけではないのでご安心を――ん? 何を安心すんだろ?

 まぁいいや、はいはいお兄さん、お兄さんは兄貴の友達でしょ? 友達なら友達の妹を助けるのは当たり前田のなんたらてやつですよ。


 ぇ、近い? もっと離れて? さ〜せん、いひひ、ついと熱くなってしまった。


 しかし、お兄さぁん、このくらいで近いだなんて〜、さてはおぬし女子免疫が無いなぁこのやろう。

 まま、来てくれるかどうかは運に任せるとしまして、お店の名前はですね――はぁい――駅を降りて十分くらいで着くかなぁ。



 あ、もし来ていただけたら、わたし、お兄さんにぃ、サ〜ビスッ、しちゃいますよ。

 どんなのかは、そうだなぁ、お兄さんが席についたらぁ、愛を込めたおひやついであげちゃいまっ――ッッッたアッ!?


 なに、誰よ頭を叩いたのっ、て、兄貴いつの間にッ。

 え〜、別におかしな事なんて言ってないよ?


 兄貴の数少ないお友達にそんなおかしな事なんて、というかそっちも友達放っといてどこ行ってた話ですよねぇ――わかったわかりました出ていきます。もう用事も済ませ立っちゃぁ済ませたからね。

 あたた、押さないでよもう……ん? へー、お兄さん「ぽこ」てあだ名なんだ? あはぁ、確かにタヌキっぽくて優しそうな顔してますもんねぇ――て、押すなやめろまだわたしは名乗ってもいないんだぞッ。


 はいはいッ、わたし「しのぶ」といいます「真村まむら しのぶ」と申します。それでは、ぽこさん。兄貴と末長くお幸せにぃ、あ、お友達とし――


 ――バタンッ。


 あちゃあ、完全に締め出しやがった兄貴のやつ。ま、いっか、お友達とも話せた事だし、拙者おじゃま虫、退散するでござるッ。




 しかし、ぽこさんかぁ。優しそうなお兄さんて感じだったねぇ。






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