彼女が笑って死んだ理由

@tomorokoshi

1話

「この薬を肌身離さず持っていろ」


 俺は彼女とデートの待ち合わせをしている時、男に突然そう言われた。

 そして、一錠の薬をもらった。


「・・・はい?」


 その男はそれだけ言って、足元をふらつかせ、どこかへ行ってしまった。


「なんだ、あいつは?」


 まあ、どうでもいい。今日は久々に彼女とデートができる。


 俺はさっきもらった薬とやらをポケットにしまい、彼女を待っていた。


「寒いなぁ」


 冷たくなった手に息を吹きかけ彼女を待っていた。しかし、いくら待っても来なかった。予定時刻よりかなり時間がすぎ、流石に心配になり電話をしたが、でる気配はなかった。


 何かあったのか?


 俺はそう考え、埒が開かないから家に帰ろうと歩いていた。その時、俺は信じられない光景を目にした。


「え?・・・何やってんだよ!?」


 そこには俺の彼女が横たわっていた。近づいて抱き上げみる。すぐにわかった。


「死んでる」

 

 だめだ、理解がおいつかない。


 そして更に理解不能なことがもう一つあった。


「なんで、笑ってんの?」

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