「永遠なんてない」で始まり、「君にはもう期待しないよ」で終わる物語
山のタル
「永遠なんてない」で始まり、「君にはもう期待しないよ」で終わる物語
「永遠なんてない」
なんと素晴らしい響きの言葉だろうか!
永遠なんてこの世で最もくだらないことだからね!
これを見ている君達もそう思わないかい?
えっ? 僕は誰かって?
そうだね、簡単に説明すると神様さ!
「永遠」を司る神、それが僕さ!
ただ僕には決まった名前がなくてね、適当に「神様」と呼んでくれたら嬉しいな!
……話が逸れたね。
それでさっきの質問だけと、君達はどう思う?
「永遠なんてない」という素晴らしい言葉についてさ!
……えっ?
「永遠」を司る僕が永遠を否定するのがおかしいって?
成る程成る程……。
いや~、全くもってその通りだ!
君達の疑問はとても的確に正しい!
確かに「永遠」を司る神である僕が永遠を否定したら、僕の存在価値がなくなってしまうものね!
……でもね、「永遠」を司る神である僕だからこそ、永遠を否定できるのさ。
……どういうことかって?
だって、この世のあらゆる永遠は、僕が叶わないように管理しているからだよ。
永遠の平和、永遠の愛、永遠の命、永遠の別れ、永遠の眠り……etc.
他にも挙げればキリがないだろうけど、どれか一つでも現実で叶うことがあるかい?
永遠の平和?
違う立場、思考の者が存在する限り、生き物は争いの運命から逃げられない。
永遠の愛?
特定の人物に、一生同質の愛を抱き続けれるかい?
永遠の命?
命はどうあがいても消耗品だ。その理から外れることは出来ない。
永遠の別れ?
数百年前ならいざ知らず、ネットが普及した現代でそんなことが起こりえるかい?
永遠の眠り?
それは現実世界での話で、死ねば死後の世界で目覚めるのさ。
……ね?
永遠なんてないだろう?
どれもこれも全て、現実世界で起こらないように僕が管理しているお陰だよ。
有難く思ってほしいね!
……え?
何故そんなことをするのかって?
最初にも言ったじゃないか、永遠なんてくだらないって。
もしどれか一つでも現実のものになったら、世界がどれだけつまらなくなるか想像に難くないだろう?
永遠は時間の概念を超越する。
変化や進化を諦めたのと同義だ。
そこには何の面白味もないじゃないか。
僕はそんなものを眺め続けるのは好きじゃない。
……世界は常に変化と進化を繰り返す。それが理であり、真理であり、本来のあるべき姿なんだ。
永遠という異物がそこに混ざってはいけないんだよ。
だから僕がしっかりと管理してるのさ。
…………
そうか。それでも、君達は「永遠」を諦めきれないんだね……。
だったら仕方ない。
残る手段は一つだ。
「永遠」を求め、それを御旗に主張する全ての者達よ!
永遠を欲するなら、永遠の神である僕を納得させて、その手で掴み取ってみせろ!
さあ、永遠の化身たる僕を倒せるかい?
……まあ、僕は君達にはもう期待してないけどね。
「永遠なんてない」で始まり、「君にはもう期待しないよ」で終わる物語 山のタル @YamanoTaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます