タイトル未定

@mrsy

第1話

仕事を終え、コンビニに立ち寄っていつものように晩飯を調達する。

ちょうど翌日が休みだったので、酒も何本か買った。

今夜もいつも通りの夜になる・・・はずだった。

しかし、そんな平凡すぎる日常を送ってきた俺にとっては、今にも白目をむいてひっくり返りそうな事案が、目の前で起こっている。

思わず「わっ!」と声を上げてフリーズしてしまった。


「こ、こんばんは・・・。」


俺は自分の部屋に帰ってきたはずだ。

同居人なんていやしない。

ならば何故、玄関を開けた瞬間、女の子が立っているんだろう。

さらに一応言っておくと、俺には姉や妹も、同棲中の彼女も、世話を焼いてくれるような幼馴染もいない。


「あの~・・・もしもし?」


などと思考を巡らせている間に、目の前の名前も知らない少女をほったらかしにしてしまっていた。


「あ、すみません。ちょっと考え事をしてたもんで。」


「なるほど、そうでしたか。」


って冷静に会話してる場合じゃない。

このおかしな状況をなんとかしなければ。

ならば、俺が取るべき行動はひとつだ。


「1,1,0っと。」


「ま、待ってください!」


そう言った少女は、俺が電話を掛けるのを阻止するべく、手を伸ばしてきた。

その手は俺の腕を捉える・・・はずだった。


「え・・・?」


一瞬、倒れこんでくることも予想できた。

これでは少女にケガをさせてしまいかねない。

だがしかし、そうはならなかった。

何故なら、少女の身体が勢いのままに俺の身体をすり抜け、そのまま壁に吸い込まれてしまったからだ。


またしても呆然としていると、今しがたすり抜けた壁から、困り眉を携えた少女が現れた。


「あの~、これは一体どういうことでしょう・・・?」


「・・・んですか?」


「はい?」


「あなた、私が見えるんですか?」


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