第11話

 休ませてもらった後、がっつり仕事をした。生活のため娘のためほとんど毎日のように仕事に出ていってた、でも週に一回は必ず休まなくてはいけなかったから休んだが休んだ気もしなかった。


 でも休むことって大事なんだと。この五年間……がむしゃらだった。


 無理をしてたんだ、でもそうするしかなかったのよね。


 新天地でもあったけどいつも通りのパフォーマンスをした。ここ数日の分を取り戻せたと思う。正直しんどかったけども。


 でも……あぁ、気持ちい。


 性を解放する場でもあるのよね。この仕事は。


「すごいです、さくらさん……チップも多くて。でもちゃんと今から休憩して夜からの稼げる時間まで回復してくださいね」

「ありがとう……」


 今日捗ったのは……つづはらさんのことを考えながら。普段もかっこいい俳優さんとかアイドルの男の子をあてがって気持ちを上げていたけど、今日はつづはらさんに相手でって私はやっぱりちょろい。昔から惚れやすいから少しでも優しくされたり親切にされると……綾人の時もそうだった。あぁ。


 あれから彼には会ってないしもちろん連絡先も知らないし……事務長は神奈川に勝手に帰ってたし。


 あ、服を取りに行かないと。


 たった少し親切にされただけで彼のことを考えてあそこまで燃え上がってしまう私って。


 私は両手で頬を挟んでパシって叩いた。

「まずは休む、休む!」

 そう言わないと休まないからな……気をつけないと。






 そして最終日。

「本当にお疲れ様でした。無理をなさらず……ここに戻ってきてくださることを期待してます」

 社交辞令かわからない、鵜呑みにはしてはいけない、この業界ではって思ってはいるけど自分は頑張ったからこそ労ってもらうのは本当に嬉しい。

 そう、労いの気持ちが綾人にはなかったのだ。

「こちらこそありがとうございました、サポートがあってここまで頑張れました」

「……早く娘さんの高校が決まるといいですよね」

 そうだった、高校からまだ連絡ないんだけど。憂鬱になりながらも外を見るとまだ小雨。この一週間ずっと雨が降っていた。ずっとこの中で働いていたから、というか雨を感じたくないからほぼ出なかったのに等しい。頭は痛かったけども。

 神奈川の事務長からもメールが来ててすごいじゃん、またこっち戻ってきても稼いでね! って。はぁ、そこなんだよね。


 私はキャリーケースを引いて事務長からマップを送ってもらってあの店に向かった。まだ夕方だから準備中だろう。でも荷物だけ引き取ってさっさと電車に乗ろう。


 傘をさしてキャリーケースにはビニールかけてもやはり隙間に雨が垂れて入っていく。まぁいいか。


 ……まだ明るいから店はこんなふうになっていたのか。提灯の灯りはまだ灯ってない。裏に回ったほうがいいかな。表はやはり準備中になってた。


 裏に回ってみる。そこは薄暗い。



 そこに、つづはらさんがいた。軒下でタバコを吸っていた。吸ってたのね。


「……あれ」

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