第5話:ウェストの細さには、 代謝の良さと運動能力が顕れる・・
「ねえ、そんな顔しないでアベル・・・」
「ごめん・・・」
**
リリスの髪が好きだった。
リリスの肌が好きだった。
リリスの声が好きだった。
リリスの瞳が好きだった。
子供のようにやわらかな髪。
子供のようにやわらかな肌。
子供のように可愛らしい声。
子供のように透きとおる瞳。
手と手を握り合い、
二の腕の白さに頬ずりして、
その小さな頭を掻き抱き、
くちびるを合わせる。
滑らかな背中を撫で下ろし、
小さなウェストにキスをして、
その双丘の意外な量感に驚き、
そして、―――
「ねぇ、どうしたの?」
「・・・」
「そんな顔しないでアベル・・・」
「ごめん・・・」
**
驚いてしまった。
男と女は違う、当たり前だ。
違うから惹かれ合う、そんな言葉をよく聞く。
でも男女が惹かれ合うメカニズムを、
それでは説明し切れない。
**
夏がくると、
二人はいつもの川で一緒に水浴びをした。
アベルは魚を採って得意げに胸を張り、
リリスも負けずに蟹を採って自慢した。
二人とも、まだ子供だった。
下着姿で川遊びをするリリスの、
すぶ濡れではしゃぐ半裸の肢体から、
アベルは眼が離せない。
気が付くとアベルは、
リリスの身体のいろんな部分を、
眼で追っていた。
測っていた、といった方が正確かも知れない。
ウェストのくびれと、
腰のまわりの肉付きの、その比率と、
それと、太腿の太さとの比率、
それと、脚全体の長さの比率、
それと、子供みたいな上半身の小ささとの比率、
それと、華奢な頚筋と、肩との比率、―――
つやめく美しい肌、
くるくるとよく動く可愛い眼、
血色を浮かべた柔らかな
子供のような軽い身のこなし、
可愛らしく美しい姿、かたち、―――
「どうしたのアベル? ・・ぼんやりして」
「えっ! いやっ、そのっ、・・何でもないよ」
**
ウェストの細さには、
代謝の良さと運動能力が顕れる。
お尻の張りと大きさには、
栄養を摂取・吸収する能力が顕れる。
脚の長さや
やはり運動能力の多寡が如実に顕れる。
四肢と胴体のサイズの比率にも、
やはり運動能力の高低が露骨に顕れる。
きらめいてよく動く眼には、
頭脳の性能の高さが顕れるし、
つやめく美しい肌には、
内蔵の機能が優れていて健康であることが、顕れる。
アベルは、
リリスの細くて小さな腰まわりと、
太腿から、その揺らめく動きから、眼が離せない。
―――お尻とふとももが好き!☆
と、言ってしまえばそれまでだが、
それは、正確な表現ではない。
運動の
腰まわりから脚にかけての構造を確認しているのだ。
要するに運動能力を、測っている。
無理なく高い運動性能を発揮できる構造となっているか?
を、確認しているのだ。
すべての男は(或いは男のうちの多くは)、
はだかの若い女を見るのが好きだ。
身も蓋もないが、
これは紛れもない事実だろう。
なぜか?
なぜ人類の美意識の顕れたる、地上に出現した最初の芸術といっても過言ではない「衣服」を着た状態ではなく、「はだか」の女が見たいのか?
それは取りも直さず「確認したい」からだ。
何を?
健康、
身体能力、
そして頭脳の性能、
これらについて、
優れた遺伝子を持った血脈に生まれ付いているか?
を、確認したいのだ。
衣類を脱いだ状態の方が、構造の良否や、健康状態を、確認しやすい、そういうことだ。いや、何も上品ぶって、性欲が恥ずかしくてそんなことを言っている訳では無い。はだかの女が映る画像や動画を、若い男が
では、
なぜ確認したいのか?
なぜそんなことを確認しなければならないのか?
それには、
変身願望が関係している。
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