天性の弱虫さ

マッシー

第1話

「俺と――付き合ってくれない?」


 高校2年生の春、彼は私に躊躇いながらも言った。

 この1週間、彼はおかしくなったのか、アヒルの子のように私の後ろをついて回った。部員はみんな彼の好意に気付いていたし、私自身も気付いていた。

 ――いや、おかしかったのは4月に入ってからか。

 そんなことを考えながら電車に乗り、最寄り駅までの時間を過ごしていた。

 翌日の大会に向けた最終確認が終わり、みながそれぞれ帰路に着く中、私と彼は2人で駅に残った。

 駅までは自転車で来ていたが、それに乗ってしまっては告白の言葉は聞けないとゆっくりと自転車を押し、彼の言葉を待った。


「私でいいなら」


 こうして始まった私と彼との物語。

 1年間の付き合いは長いのか短いのか。

 家族以外から初めてもらった本物の愛情は、どこに仕舞えばいいのか。

 彼に対する愛情は、誰に譲ればいいのか。

 誰にも聞けない。でも言いたい。私は、どうしたらいい?


 私がずっと前から思っていること。

 私と彼は、友達に戻れるのかな。

 戻れるのならそれ以上はもう望まないから、また仲良く話せる日が来たらいいな……。

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