サン

千鶴

side A

「ダメよ。あなたは永遠にここに留まっていなくちゃ」


 太陽。それはすべからく、燃え輝き続ける運命。


 ずっとそこにいて、いつまでもそこにいて、決して消滅することの許されない、生命においての大事な大事な要。


 あなたがいるから生きていけるし、あなたがいるから温度を保っていられる。


 そりゃあ、いつかはね? あなたも消えてなくなっちゃう日が来るわ。


 でもそんなの、ずーっとずーっと、遥か未来の話なの。


「どうして居なくなりたいなんて言うの? だれにも変わりはできないのに。まだまだそんな時期じゃないわ。なのに、どうしてそんなことを?」


 そんなの、許されるわけない。あなたは太陽なのよ? 太陽はずっと照射しょうしゃ……それが役割だし、逆に言えば、あなたにはそれしか出来ないの。


「気持ちはわかる。ずっと同じ毎日、代わり映えのない毎日だもの。でもね。あなたは自分の生きがいなんて考えなくていいの。ずっとずっとそのままでいればいいの。それがあなたの存在価値なのよ?」


 私がいくら言っても、あなたは納得しない様子で。


 とうとう、重い口を開く。



「母さん。もう、僕を、解放して」

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