Cat&Wizard
にゅーとろん
最後の魔法使い、未来で目覚める。
魔法使いには相棒の猫が一匹いればいい。それだけで魔法は成り、世界を好きなように変えることができた。
……が。
世界中の魔法使いたちが壮絶な殺し合あった魔女大戦で、俺はくたばった。はずだった。
なのに、俺は見知らぬ遺跡の奥深くで猫……? に囲まれて目を覚ました。二足歩行で服を着て人語を解すのみならず、一大文明を築いている猫たちに、だ。
なんでもここは魔女大戦から千年以上後の未来。二足歩行の猫たちが世界を支配し、本来「人間」と呼ばれていた俺のような外見の知性体はキレイサッパリいなくなっているという。
もちろん魔法使いなんて生き残っていない。その代わりにこの時代の猫、いや人間は
てなもんで古き良き(多分)魔法使いの俺は「超レア物のウィッチクラフト」、つまりは道具扱いだ。
とはいえ、人権ゼロの奴隷生活に転落! かってぇと、そうでもない。
「で、この先で合ってるのかい先生?」
「はい、その遺跡の壁画に大戦の記録と思しき記述があったとか」
「今度は有力な手掛かりだといいんだがねえ」
年若い(らしいが俺には見分けがつかん)わりに落ち着いてるこの学者先生の所有物――旅の相棒、それが今の俺の立場だ。
俺を見つけた調査隊の長がこの若先生だった。先生の研究テーマはズバリ『魔女大戦の真実』。「大戦はどう集結し、今の人類(を名乗る猫)が生まれたのか」という謎の解明が、先生の夢。
俺はその重要な鍵かもしれない、ということで彼のフィールドワークへの協力と引き換えに、俺はこの世界での生活を保障してもらっているわけだ。
「歴史の探求は地道な積み重ね。ゆっくり行きましょう」
「へいへい」
境遇に不満はない。先生が俺を一人の人間扱いしてくれる人格者だからというのもあるが、なにより俺が眠っていた間に何が起きてこうなったのか、興味がある。
「頼りにしてますよ、魔法使いさん」
「任せとけ。あんたの行き道、俺が切り拓いてやるぜ!」
――俺の第二の人生は、まだまだ始まったばかりだ。
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