第36話
「さて、結果発表と行きましょうか」
「.....そうですね」
まぁ、結果を返された時点でだれが一位なのかということは分かっているので、確認することではないのだけれど、一応冴姫さんではないという可能性もあるからね。
冴姫さんと僕のテスト結果を交換する。
ちなみに予め言っておくと僕のテスト結果の順位は、前回と同様二位だった。
冴姫さんのテスト結果の用紙を見てみると、ほぼすべての強化で百点を取っていて唯一今回難しかった数学だけ九十六点という驚異の結果だった。
僕との点数差は歴然で、圧倒的な敗北となったわけだけれど逆にここまでの差があると悔しさも湧かない.....は嘘だけれど清々しさはある。
「冴姫さん凄いですね、完敗です」
「晴夏君だって、凄いですよ。付き合う前の私だったら負けていました。ですが、彼氏さんからのご褒美が掛かった私は無敵ですよ」
「どうやら、そうみたいですね」
「ふふっ」
にっこりとほほ笑んでくれる冴姫さんに僕も笑顔で返す。
「それで、絵美里はどうだったの?」
「んふふ、どうだと思う?三十位超えたって思う?」
テスト結果が返ってくるまではとても不安そうな顏をしていたけれど、今では上機嫌に鼻歌まで歌って僕に逆に問いを返してくるので、恐らくだろうけれど大丈夫だったんじゃないかなって思う。
「私のテストの結果はね.....じゃーん」
僕と冴姫さんに見えるようにテスト結果容姿をみせてきたので、見てみるとそこには28位と書かれていた。
ギリギリだけれど、目標であった三十位以内というものは達成されている。
「やったね、絵美里。よく頑張ったね」
「うん、私、偉い?凄い?」
「うん、凄いよ絵美里」
「んふふ」
喜びで抱きしめてくる絵美里を抱きしめ返してあげて、頭を撫でてあげる。
小型犬みたいで、すっごく可愛いくて頭をつい撫でたくなるんだよな。
「絵美里は、物凄く頑張っていたからきっと目標を達成できるだろうと思っていたけれど、達成できて良かったわ」
「冴姫が私に熱心に教えてくれたからだよ!!本当にありがとー」
「はいはい」
僕から離れて次は冴姫さんの胸へと飛び込み甘える絵美里。
冴姫さんは、仕方のない子だなとやれやれ感は出しているけれど、その表情はものすごく優しくてまるでお姉さんのようだ。
「さて、晴夏君。私達二人が目標を達成していることだし、約束は覚えていますよね?」
「うん。僕が二人に何でもしてあげるっていうものでしょ?」
「はい、そうですね」
何だろう、霧姫さんの雰囲気がすごく優しいんだけれど、どこか歪んでいて淫猥な雰囲気を醸し出している。
もしかして、僕はまずい約束をしてしまったのかもしれない。
「さ、流石に百万円欲しいとかそんなことは無理だよ?」
「いえ、そんなことは言いませんよ。私はあなたにただ承諾してもらうだけでいいので」
「.....?承諾をするだけでいいんですか?」
「はい」
承諾って何の承諾をするんだ?闇金?
でも冴姫さんがそんなことをするわけがない。本当に何なのか見当もつかないからこそ少し怖い。
「高校を卒業したら同棲をすぐにしましょう」
「.....え?」
「だから、同棲をするんです」
同棲?
同棲ってあの、二人で仲睦まじく暮らすあの同棲って言うものですか?
「私と同棲したくないんですか?こんなに私たちは愛し合っているというのに。私は凄く悲しいです」
「い、いやしてもいいんですか?」
「いいに決まっています。そうじゃなきゃこんな提案を私からすることはしません」
それはそうだけれど........
「あぁ、ちなみに言っておくと晴夏君のご両親からはもう許可は取っているだけなので、本当にあとは晴夏君が承諾してくれるだけという状態です」
すごい、僕が今ちょうど思っていたことを先回りされて言われた。
........冴姫さんにここまでお膳立てしていただいたのに、受けないなんて男としても人としてもダメなような気がするし、緊張するけれど純粋に冴姫さんと同棲したいって思う。
「......分かりました。冴姫さんと卒業したら同棲することにします」
「ありがとうございます。あぁ、楽しみですね。あ、もちろん同棲とは絵美里も一緒ですよ?」
「うん!!晴夏と冴姫と幸せに暮らすんだー。そのために私も今回頑張ったんだもん」
どうやらこの二人は結構前からこのことを企んでいたらしい。
僕の彼女たちはどうやら本気で僕を逃がすつもりはないみたいだ。
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