第3話 ぶっきらぼうと転校生。

「よろしくお願いします」

…。


「よーし。じゃあ、歩の席は1番後ろのあそこな」


「はい」

…。男か。うんうん。そうだな。転校生でかわいい女の子が来てその子が隣の席に…なんて展開は漫画の見過ぎだな。いや、全くもって期待していないし、俺は空さん一筋だが。うん、女子だと思い込んだ俺が悪かった。


「…の」

ん?


「あの、よろしくお願いします」

あ。


「…あ。よろしくお願いします」

そうか。昨日まで俺の隣席なかったわ。うんうん。転校生が隣の席に来るという経験はできたということか。それにしても、さっきまで気づかなかったが、彼はきっとイケメンだ。女子の皆さんは俺と席を変わってほしいことでしょう。譲ってあげたいものだ。というか、俺あんな挨拶でよかったのか…? 自己紹介もせず、失礼だったか。後で名乗ろう。




「ども、誠の幼馴染。西大輝です! “ニシ”って呼んでもらえたら嬉しいっす」


「はい。西くんよろしくお願いします」


「ちょっとちょっと、同い年じゃん! 敬語はなしー! あと、“ニシ”って呼んでよ〜」


「あはは そうだよな。よろしく、ニシ。ちょっと初めての環境に緊張しちゃって」

さすがニシだ。すぐ打ち解けている。…ん? まずい、名乗るの忘れた。そして、ニシによって、俺が誠ということだけが知られたわけか。これは名乗る必要はないのかもな。


「そうそう! …で、えっと。歩くんのことは何て呼べばいいかな?」


「あ。じゃあ、歩で。なんでもいいけど」


「よーし、じゃあ歩って呼ぶわ。改めてよろしくなー」


「うん。よろしく」


うーん。名乗るべきか。名乗らないべきか…。

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