さび猫ぺちゃこと申します

椰子海子

第1話 自己紹介します

みなさま、こんにちは。

さび猫ぺちゃこと申します。


ワタシは、色々な濃淡が混じった茶色の毛の猫です。

一般にさび猫と呼ばれております。

お洒落な言い方をすると、ミルクティーのようなライトブラウン、モンブランケーキのようなスモーキーなブラウン、マホガニー家具のような深みのあるブラウン、深煎りコーヒーのような限りなく黒に近いダークブラウン、などなどの毛色で規則性無く表現されております。

海外では、べっこう色と言われていて、それなりに美しいと言ってくれる場合も多いようですが、なぜか日本では、「さび」と呼ばれて、イマイチの人気です。

生まれた頃は、一緒に保護された同期や、諸先輩方は、綺麗な真っ白の毛色のふあふあであったり、目の周りにきちんとデザインされた黒の柄がシンメトリーに配置されていてモダンな感じであったり、漆黒色の黒光りした毛色の中にグリーンの目をきらりんとたたえていたり、サバンナの野生ヒョウのような格好の良い毛並みを締まった肢体に絡わせていたり、自慢の美しい縞々シマシマをふくよかな体に思う存分這わせていたりしていたので、茶色の斑らで、ちっぽけで痩せて貧弱な自分は可愛くも、格好良くも無く、誰も愛してくれないんだなという自覚がありました。そして、その感情に合わせて悪い目つきでせめてもと表現をしていましたから、当時保護してくださっていた保護主さんは、少しでも愛らしく見えるようにと、フィッシャーピンクのシュシュを首に付けてくれていました。しかしながら、ワタシのそのまばらな茶色の毛には到底似合うはずもなく、悪い目つきがさらに強調されてしまうという悪循環を生み出しておりました、、、と思います。

というのは、何度か譲渡会というものに参加して、一緒に暮らすニンゲンを探していたのですが、ワタシのいるケージに立ち止まるニンゲンは余りおらず、いたとしても、いつも、何か困った表情をたたえていました。

フィッシャーピンクシュシュが首に張り付いて気持ち悪いので、取りたくて騒いでたすき掛けになってしまっても、それでもなんとか付け続けようと踏ん張る保護主さんを見て、改めて、ワタシは同期や諸先輩方とは違うのだな、何度も言いますが、可愛くないし、綺麗じゃないし、格好良くないし、目つき悪いし、ちっぽけだし、そういうことか、と確信して腑に落ちておりました。

そして、こちらとしても、あんた達ニンゲンが好きではないので、どうぞワタシに余計な同情ごころなどで手を伸ばしてきませんように、と思っていました。


長くなりましたが、そんないわゆる「ふびん」なワタシが、一緒に暮らす人と出会って、少しずつ、本当にゆっくりとですが、斜に構えて一寸の隙間無く閉じ切った心を、1ミリずつ開放して行った当時の事を思い出しながら、併せて、ニンゲンて不思議だわね、と気付いたりしたことを、少しずつ話していこうかなと思っております。

とにかく、始めてお家に着いて、丸14日間は全自動洗濯機の下に籠城しましたから!それはそれは、本当にゆっくりと始まる新しい生活でした(笑)








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