第2話 僕と2人の友人と昼休み
昼休み、僕と颯斗ともう一人、
「あんさー、
「うらやましかろう?ま、あの2人は昔からかわいかったからな」
「そうだったね。朱莉も葵彩もみんなのお姫様みたいな扱いだった・・・・・・」
「ああ、今とは違って朱莉の方が元気はつらつな感じで、葵彩はいっつも泣きべそかいてたっけな・・・・・・」
「颯斗がいっつも2人のスカートめくったりしてたからでしょ?」
「おいおい、このムッツリ大魔神様は昔は変態大魔神だったってのかよ?颯ちんさぁ、陸上がなかったら、終わってたな・・・・・・」
「うるせえよ。てか、朋希も幼稚園の頃のこと掘り返すなよ」
「ごめんごめん」
昔話につい花を咲かせてしまう。あの頃は、今と違って3人に強い劣等感を抱いたりはしなかった。いつからこんなに差が広がってしまったのだろう?
「ところでさー、お前らって好きな奴いる?」
何気ない調子で、拓弥の質問が飛んできた。
「そういう拓弥はどうなんだよ?俺らに聞くくらいなら、お前にも答えて貰うからな」
「うえっ、やっぱりそう来ちゃう?いや、実はさ・・・・・・同じ部の後輩にこないだ告られちゃってさ。嫌いじゃないんだけど、そういう目でみたことがなかったもんで、断っちゃったんだけどさ。妙にそれ以来あいつのことを気にしちゃってんのよね?これって恋だと思う?」
思ったよりガチな相談だった。しかし、僕には誰かと付き合った経験が無い。けれど恋する感情なら分かる。
「それは、たぶん恋だよ」
「おっ、朋ちんは誰かに恋してる系?」
「朋希、お前好きな奴いたのか?」
颯斗がなぜだかすごく驚いていた。てっきり、僕の想いは筒抜けなのかと思っていた。
「誰か一人のことを気にして、気づけば目で追ってるなんて恋以外の何物でもないと思うよ」
「やっぱりかー。けどなー、一回振っちゃってる相手にアプローチするってのは微妙だよなぁ・・・・・・」
結局、拓弥の悩みをどうにかしてあげることはできないまま、昼休みは過ぎていった。気づけば午後の授業までいくらも時間が無くなっている。
「ごめん、僕トイレに行ってくるよ」
「おう、行ってらー」
「あのすみません、朋希さんですよね・・・・・・」
僕が慌てて廊下に飛び出すと、ふいに声を掛けられた。あまり聞きなじみのない女性の声だ。
振り返ると、見覚えのない女子が3人立っていた。全員どことなくギャルっぽい見た目をしているが、真ん中に立つ子は容姿からの想像に反して気弱そうな表情をしている。おそらくこの子が声をかけてきたのだろう。
「えっと、そうだけど・・・・・・。ごめん、君たちに見覚えがないんだけど・・・・・・」
「いいから、亜由美の話聞けっつの」
「そうだっつの。亜由美の勇気そんちょしなし」
ギャルA・Bさんいわく、話しかけてきた子は亜由美というらしい。うん、やっぱり覚えがない。
「あの、朋希さん。これを受け取ってください」
亜由美さんはおずおずと、かわいらしい桜色の便せんを差し出してきた。
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