【4.0万PV感謝】カノジョの取説を拾ったのでそれを使って口説いた結果
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
第1話:彼女の取説を拾った
「
―僕だけが、彼女の全てを知ってしまった。
―彼女すらも知らない彼女の秘密を知ってしまった。
****
「リア充」ってマンガの中だけの存在だと思っていた。
これまでに「陽キャ」とか「陽キャ」っぽい人はいた。クラスの中で騒いでいるというか、簡単に言うと「声がデカい人」。
デリカシーがないというか、雑というか、僕とは違う人種というか、違う常識の人。
一方、「リア充」ってリアルが充実している人のこと。
本当に充実しているから他人に対してマウントを取ったりしなくていい人。そんな必要がない人。
僕からしたら、そんな人は聖人か、仙人か、物語の上だけの空想上の生き物だった。ガチャゲーで言うところの「
そして、僕は高校に入学して初めて「リア充」な上に「クラスのアイドル」みたいな絶対にありえないレア中のレア、つまり「
彼女の名前は「
事実上のクラスのヒエラルキーのトップグループに位置する女子。トップグループと言っても女の子ばかりの3人組。
その中でも江住さんの人気は断トツだった。
髪のキューティクルの艶は輝きのエフェクトみたい。癖のない背中くらいまでのロングヘア。
白い肌に大きな目、屈託のない笑顔。決して大きい声じゃないけれどよく通る澄んだ声。細身の身体なのに大きめの胸。
神様、彼女が天使じゃなければ、天使ってどんなヤツなんですか?
彼女みたいな人のことを「陽の者」というんだろうなぁ。
彼女は誰とも分け隔てなく接することができる。そう、僕みたいな平凡な「陰の者」とも自然に話すことができる。
そんな完璧な彼女だけど、友だちと話している時、ほんの一瞬だけ困ったような、悲しいような表情をするときがある。
無意識の癖なのか、何かあるのかは分からないけど、陽の者の彼女の中のほんの小さな陰のように思えて僕はすごく気になっていた。
そして、僕はそんな彼女のことが好きだった。
実は、江住さんと幼馴染とかそういったつながりは一切ない。彼女は僕にとっては、ただたた眩しいだけの存在。
近くにいるだけで自分の劣等感が爆発してしまう程の存在。
多分、クラスの男子の半数以上は江住さんが好きだろう。そんな人気者の彼女の席の隣は僕なのだ。
クラスの一番後ろで入り口から最も遠い席、所謂「主人公席」は江住さん。彼女は間違いなく世界の中心、物語の主人公だろう。
なにを間違えたのか、彼女の席の隣が陰の者の僕の席だ。
朝の挨拶「おはよう」と帰りの挨拶「じゃあね」以外は会話をすることがなかった僕と江住さんだけど、ある日の放課後、彼女が落とし物をしたことから僕と江住さんのつながりができた。
「宇留戸くん、じゃあね。また明日」
教室で帰り支度を終え、カバンを持とうとしていた僕の横で江住さんが挨拶してくれた。
「あ、うん……」
ちゃんとした挨拶を返せないのは、僕がコミュ障だからだろうか。単なる恥ずかしがり屋なだけなんだよ。人見知りするし。ましてや相手は江住さんだし。この程度になってしまうのは当然だった。
(バサッ)江住さんが僕の後ろを通る時に何かしらの冊子が落ちる音が聞こえた。
僕は、何気なく振り向きそれを拾った。
「あ、あの……」
江住さんに声をかけた時には、彼女は教室の出口に差し掛かっていて、他の友達と合流して帰るところだった。
僕は、拾った冊子を見た。江住さんがノートか何かを落としたと思ったのだ。
「
白くA4サイズで30ページほどのその冊子にはそう活字で印刷されていた。そして、これは僕が想像したよりもすごいものだったのだ。
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