【短編】女子高生とおっぱいと都市伝説【2万字以内】
石矢天
第1話 そうだ、きさらぎ駅に行こう!
(SE)チャイムの音
モブ(1)
「きりーつ、れい」
モブ(大勢)
「「「ありがとうございましたぁ」」」
(SE)教室のざわめき
リナ
「あー! 待って待って。キョンこのあとヒマ?」
キョン
「ん? ああ、リナ。ごめんね。私にはヒマな時間なんてただの1秒だってないの」
リナ
「それはウソ、キョンのことならわかってる。家でゴロゴロ漫画とゲーム。……でしょ?」
キョン
「さすが親友。大正解! 私は漫画を読んでゲームをしないといけないからとても忙しいの」
リナ
「じゃあ、あたしと『きさらぎ駅』に行こうよ」
キョン
「いやいや、『じゃあ』の意味がわからないわ。私の記憶が間違っていなければ、いま『忙しい』って伝えたわよね?」
リナ
「忙しいのはわかった。でも、あたしと一緒に『きさらぎ駅』に行こう」
キョン
「あー、なるほど。理解出来たわ。私の都合は関係ないってことね。それ、予定を聞いた意味あるかしら?」
リナ
「んー。社交辞令?」
キョン
「多分だけど、使い方まちがってると思うわ」
リナ
「じゃあ、まくら言葉!」
キョン
「まくら言葉って、リナ。和歌じゃないんだから……」
リナ
「それはウソ。キョンのことなら、わかってる。家でゴロゴロ、漫画とゲーム」
※五、七、五、七、七で区切りながら。
キョン
「いや、だからなによ」
リナ
「え? すごくない?」
キョン
「すご……くないっ」
リナ
「じゃあ、きさらぎ駅へレッツゴー! きっとすごいものが見れるから!」
キョン
「そもそも! そもそもなんだけどっ!! きさらぎ駅って?」
リナ
「え⁉ キョンってきさらぎ駅知らないの?」
キョン
「知らないわね」
リナ
「ちょー有名なのに⁉」
キョン
「知らない人がいる時点で『ちょー有名』ではないと思う」
リナ
「きさらぎ駅はね、異世界に通じてるんだよっ!!」
キョン
「異世界」
リナ
「そう! 異世界!! すごくない⁉ 行ってみたくなったでしょ!!」
キョン
「1秒でも早く家に帰って、ベッドでゴロゴロしたくなったわ」
リナ
「いいから、いいから。さっ、行くよっ」
(SE) 椅子が引きずられる音、衣擦れの音
キョン
「あっ! ちょっと、襟を引っ張らないで! クビが締まってる! 締まってるから! ぐるじぃ……」
♡ ♦ ♡ ♦ ♡
(SE) 電車の扉が閉まる音、電車が走り去る音
キョン
「それで……ここはどこかしら」
リナ
「きさらぎ駅?」
キョン
「私には『きさらづ』と書いてあるように見えるのだけど」
リナ
「あれー?」
キョン
「正直、内房線に乗り換えたあたりでそんな気はしてた」
リナ
「バレてた⁉」
キョン
「まさかとは思ったし、出来れば別のオチを期待してたわ」
リナ
「それでもついてきてくれるキョン、大好き!」
(SE) 抱き着く衣擦れの音
キョン
「やーめろ、あーつーい、くっつくなー」
(SE) 引きはがす衣擦れの音
リナ
「ところで、キョン。『きさらぎ駅』ってどうやったら行けるの?」
キョン
「それ、私が知ってると思った?」
キョン・リナ
「「……………………」」
リナ
「ごめん、ね?」
キョン
「はぁ。もういいわ。いつものことだし」
リナ
「大丈夫? おっぱい揉む?」
キョン
「なんでそうなるのよ」
リナ
「おっきいおっぱいを揉むと、落ち着くらしいよ」
キョン
「さっきまで落ち着いていたつもりだったけど、今ちょうど、ムカッときたわ」
(SE)リナの胸を掴む音
リナ
「いだっ! いたい、いたい!! ごめんなさい、本当にごめんなさい!! 謝るからっ、鷲掴みはやめてください、お願いします」
キョン
「ふんっ! ちょっとおっきいからって調子に乗らないことね」
リナ
「ひーん。キョンが怪力だよぉ」
(SE)リナの胸を掴む音
リナ
「ぎゃああああっ! ごめんなさい、ごめんなさい。怪力じゃないですっ。とってもソフトタッチです! いだいっ!!」
(SE)パン、パンと手を払う音
キョン
「それで、木更津ってなにがあるのかしら」
リナ
「ぐすっ。わかんなーい。初めて来たし」
キョン
「私も初めてなのよね。あっ、潮のにおいがする」
リナ
「ホントだ! 海かな⁉ ちょっと寄っていこうよ!」
キョン
「そうね。時間と電車賃使ってわざわざ来たんだし」
リナ
「わーい! 探検だっ!!」
キョン
「ほんとリナは、子どもなんだから」
リナ
「初めての場所ってなんだかドキドキしない? たとえば、そう。まるで異世界に来たみたいな!」
キョン
「上手いこと言った、みたいな顔してんじゃないわよっ。こらっ、待ちなさいっ」
リナ
「きゃああぁぁ♪ キョンにおーそーわーれーるー♪」
(SE)二人の足音
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