弐. 侵入者

 えっ、なんだ……!!


 今の、何か大きなものが引っくり返ったような振動と重みを含んだ音。


こう、何やってるの?」


 僕も仰天したけど、階下にいた母さんも驚いたようで、様子を伺いに階段を上って来ようとしている!


「コケただけだって! 大丈夫だから!」


 この汚部屋を母さんに覗かれたくない!


 見られたが最後、片付けるまで、ずっとクドクド言われ続けるに決まってるから!

 

 ……良かった!

 母さんが階段を下りて行く足音が聴こえて来る。


 それにしても……

 さっきの音と振動は何だったんだ?


 ここが、震源の地震とか?


 んなわけないか……

 

 あれっ、何でハンモック引っくり返っているんだ?


 しかも、その下にストックしといたポテチやとんが〇コーンの袋や箱が潰れて、あ~あ、ポテチの方は飛び出してるし……!


 おかしくないか、これって……?


 さっき学校から戻った時には、そんな事にはなってなかったはずだ……

 部屋に入った時、何も違和感無かったし。

 

 たとえぱ今、無自覚のマイクロスリープに襲われていたとして……こんな哀しくなるような状態に、寝ぼけてでも僕がするわけがない!


 だからって、家族は入らせてない!


 ここは2階だし、窓も締め切っているから、猫とか獣系が侵入したとは思えない!


 ……だとしたら、考えられる事はただ1つしかない。


 この状態は、アレだ!!


 僕の部屋に、透明人間がいるに違いない!!

 そうだ!!

 それ以外に有り得ない!!


 「どこだ! 出て来い! 透明人間め~」


 透明人間は見えなくても、確かにそこに存在しているのだから、そこに触感は有るはずなんだ!

 僕が、こうして、手をバタバタさせているうちに、身体のどこかのパーツが手に触れるに決まっている!


「逃げても無駄だ! 僕の大事なお菓子をこんな事にしやがって~!」


 こうやって、SF的な発想に頭が占拠された行動を取りつつも、心の中では、そんなわけなんて無いって決め付けている、どこか冷めている自分もいた。


 あの時、微かな手応えを感じるまでは……

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