1通目
拝啓、凪と航へ
書き出しが二人まとめての時点で既に面白いんだけど、どうせ届かなくて2通書くのがめんどくさい私の気持ちを察してほしい。
私は何だかんだ元気でやってます。
最近は真夏の暑さに茹だりながら、仕方なく仕事に出掛けたり室内でダラダラゲームしたりしてる感じです。
…学校とバイトが仕事に変わっただけで基本は当時と変わらないね?
そんな中で、いつだったか三人で地元の小さな夏祭りに行った事を思い出しました。
凪は気合い入れて浴衣着てきてたのに、私は近所の和菓子屋さんのドーナツの出店しか眼中に無くて、適当なワンピースか何かでお祭りに行って怒られたときのやつです。
狭い会場のくせにふらふら歩き回って迷子になりかけた私のことを航に見つけてもらって怒られたのもいい思い出です。
怒られ過ぎじゃね?私。
あの日私が妹に無理矢理誘われて出たダンスチームの発表舞台。
私は超が付く程運動音痴なので1番端1番後ろで踊ってて、ちょっと前に居る4歳の女の子の様子を見ながら踊ってたから実質保護者だったんだけど。
終わった後に目をきらきら輝かせて、凄い凄い!と拍手していた凪と、
お前運動音痴なのによくやったなぁとニヤニヤ笑いながら話しかけてきた航のことをちょっと思い出しました。
こんな事言うのもズルいだろうけどさ。
会いたいよ。
戻りたいね、あの頃に、って。
多分凪も航も、今の私を見たらびっくりすると思うんだよね。
まーるくなりましたよ。私。信じられないだろうけどさ!
もうあの頃みたいにすぐキレたり、非行に走ったりすることもない。まぁ10年経って大人になったってのもあるけど。今では仕事場で模範的なスタッフとしてやってます。マジで。笑えるけど。
でもまぁ、なんと言うか。
精神年齢はぶっちゃけあんまり変わってないなーって感じです。
だから、たまにだけど、お前らと遊んでたあの頃が懐かしくなって、センチメンタルしたりすることも、まぁある。
当時の私たちは頭可笑しかったなって思うことも、あるけど。
(笑)
でもまぁ、やっぱり。
寂しいなって思う気持ちの方が強いです。
多分、あの頃に戻りたいなーとか言ったら凪は泣くし、航は怒りそうだよね?どう?
それでも、なんかめちゃくちゃに泣かれたり怒られたとしても、お前らの事が大好きだったし、今も好きなのは変わらないなって思うよ。
…届かないものを書くこっちの身にもなってくれ?な?
まぁ何だかんだと書いちゃったけど。
航と凪のことは忘れてません。
二人のお陰で今があると言っても過言ではないくらい、二人に支えられた高校生活だったよ。
ありがとな。
元気にやってるから、お前らも元気で居てくれよ?
それじゃあ今回はここまでで。
また手紙書きます。
奏
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