二十三話 刃の打ち合い

「次の試合は…柚香だ。相手は…誰だろ」


「あの娘か?何だか頼りなさそうに見えるが」


オドオドとしており、あまり強そうには見えなかった。


「おーい!徹と…日里士だったか?」


呼び掛けられた方を見ると、さっき闘った真澄がいた。どうやら医務室から、軽い打撲程度だったそうなので帰ってきて、観戦しにきたそうだ。


「それでな、あのオドオドしてる子が俺の相棒で、菜々ってんだ。俺よりも強いんだが…ただ、アレでな」


どうやら、性格が原因で上手く戦うことができていないらしい。それでも真澄が勝てない程強いそうだ。俺では勝てないのでは?

最近は女子よりも弱いことが多い気が…


「ここでは勝って欲しいが、相手がな。あれじゃあ勝ち目は薄いだろう」


「柚香は強いからな」


「なんだ、知り合いか?」


「幼馴染みだ。俺は色々と助けて貰ってるな」


真澄が何かを言う前に、日里士が奥に連れて何かを話している。

内容は大体予想がつくが。


「そろそろ試合が始まるぞ」


その一言で二人は俺の方へと集まる。柚香達の方も準備が整ったので、遂に始まるようだ。


「第三回戦、開始します。両者準備はよろしいでしょうか?」


「はい」


「は、はい…」


「それでは第三回戦!始め!」


始めは柚香の波動。彼女はそれを柔軟に躱して柚香の方へと、刀を向けて耐える。

避けるのはできても、その後が続かないことが多いが、彼女は真澄の言っていたとおり、俺達よりも強いらしい。


「避けられちゃった」


避けられたことに驚いたが、すぐに立ち直って彼女へと向かう。それに彼女は逃げながらも対応しきっている。


「凄い一方的な試合に見えて、全く攻めきれていない柚香と、全てに対応しきる菜々って、ヤバくねぇか?あれ」


柔軟な動きで柚香を翻弄して、ゆっくりと攻撃を当てていっている。その一つ一つの動作がとにかく巧い。


「な。凄いだろ?俺の相方は」


「…凄い、な」


「柚香が勝つって思ってたけど、これじゃ、わかんないな」


日里士の言うとおり、勝敗が分からなくなってきた。どっちが勝つのか。


「だけど、ここからが弱いんだ。菜々は強いんだが、本当に自信がなくてな。ここでその自信を付けてほしかったんだが、当たっちゃいけない奴と一回戦で当たっちまったみたいだ」


「そうか…」


「まぁ、時間は沢山あるしな!ゆっくり自信を付けて貰わなくちゃいないな。急がば回れだ!」


そう笑ってどっかへ行く。

丁度、二人の戦いも終わりに近づく。最後は、柚香が一気に攻め方を変えて、変則的に攻撃して、防御を崩して、終わらしていた。

やはり、強かった。

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