【秋023】『秋茄子は嫁に食わすな』と姑が言ったから十月十日は麻婆茄子記念日【字余り/言葉足らず/残酷描写なし】
👨:
👩:
👵:根岸
🍆:どこからどう見ても秋ナス。
👨「ただいま、結希」
👩「おかえり仁太くん。お仕事お疲れさま。そのビニール袋は何?」
👨「駅前のスーパーで採れたての野菜を売ってたんだ。ほら、立派なナスでしょ」
👩「大きい! そういえば秋ナスの季節になったよね」
👨「だろ? きっと煮ても焼いても美味しいよ」
👩「張り切っちゃうなぁ。これから晩ご飯の支度なんだけど、なに作ろっか」
👵「ちょっと待ったぁあぁぁぁあああ!!!!」
👨「うわ、母さん!?」
👩「ちょっとお義母さん、また壁に穴開けて入ってきたんですか!? やめてくださいって言ったじゃないですか!」
👵「壁なんか作らなきゃよかったのよ。邪魔ったらないわ」
👩「家に壁があるのは当たり前です! プライバシー!」
👵「二世帯住宅にプライバシーもヘチマもあるもんですか。そんなことよりあなたたち、そのナスを食べるんじゃないでしょうね」
👨「そりゃそうだよ。精霊馬にするには時期が合わないだろ」
👩「時期が合ってたら精霊馬にする気だったの?」
👵「結希さん、あなた古い
👨「待てよ母さん、無茶言うなよ!」
👩「そうです! ていうか勝手にナスの袋あけないでください!」
👵「あら、立派なおナス。浅漬けにするのもありね。でもこれだけ肉厚なら、天ぷらなんかが美味しいかしら」
👩「聞いてます!?」
👵「うちのキッチンには天ぷら用の油もあるわよ。仁太、うちの方で調理しましょう。結希さんには任せられないからね」
👨「天ぷらかぁ。悪くないな。サクサクでホロホロで……」
👩「なんで仁太くんも同調してんの!? 止めてよ!」
👵「ダメ。
👩「
👵「
👩「だったらお義母さんはご存知なんですか!?」
👵「当然でしょう。いいこと、まず第一に秋ナスは美味しいわね」
👨「ああ……美味しいさ……サクサクの天ぷら……」
👩「仁太くんはちょっと黙ってて!」
👨「すいませんでした」
👵「美味しいものはついつい食べ過ぎてしまうのが人の常。いずれブクブク太ってナスみたいな身体になるのが目に見えてるわ。そんな醜い嫁、みっともなくて見ていられないの」
👩「ナス関係ないじゃないですか! 天高く馬肥ゆる秋って言うでしょ!」
👵「小難しい
👩「お義母さんが先に
👵「お黙り! ナスには
👩「お義母さんの嫁いびりの方が毒があるんですけど!」
👵「アルカロイド(英: alkaloid)とは、窒素原子を含み、ほとんどの場合塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称である。(※)」
👩「返答に困ったからってWikipediaみたいな解説を始めないでください!」
👵「親の小言と
👩「お義母さんの身体が冷える方が先です!」
👵「どういう意味かしら」
👩「あ、やば」
👨「そりゃ母さん、先に寿命が尽きるって意……」
👩「黙ってて!」
👨「すいませんでした」
👵「はぁ。親の心子知らずとはこのことね。あなたは私の子じゃないけれど」
👩「結局そうやって
👵「だいたいねぇ、こういうのは縁起担ぎの意味合いもあるの。秋ナスには種子がないでしょう。こんなのばかり食べてたら子宝に恵まれなくなるわよ、あなた」
👩「余計なお世話です! ていうか科学的根拠も何もないじゃないですか!」
👵「仁太を生んだころの私も秋ナスを控えるよう言いつけられてたわ。だから仁太を産めたのよ。先人への畏敬が足りないわね」
👩「そんな昔のことを持ち出されても……! だいたい私、いま妊娠してるし!」
👨「えぇ!? それ初耳なんだけど!」
👩「シャラップ! お座り!」
👨「すいませんでした」
👵「もう我慢できないからはっきり言うわ。秋ナスは美味しいからあなたにはあげられないの。私、あなたのこと嫌いだから」
👩「思いっきり私欲じゃないですか! そんなこと言ったら私だってお義母さんのことは嫌いです! 大っ嫌いです! 仁太くんと一緒に仲良く食べますから!」
👵「つくづく話の通じない子ね。仁太と一緒に食べるのは私だって言ってるの」
👩「こっちの台詞ですが!?」
👵「毒に当たって泡を吹いても知らないわよ。介抱してあげないからね」
👩「それもこっちの台詞だし! はぁ~~~~~~最悪。せっかく気持ちよく晩ご飯食べて、妊娠の報告も気持ちよく済ませたかったのになぁ」
👵「私だって胃ガンの寛解を報告しようと思ってたところなのだけど。息子の嫁がこんな体たらくで情けないねぇ……」
👨「胃ガン!? 待てよ母さん、初めて聞いたんだけど!」
👵「お黙り!」
👨「すいませんでした」
👩「あれ、ナス、どこ持ってくの」
👨「いや……こんなにも言い争いの種になるなら、いっそ秋ナスなんて買ってこなきゃよかったなって思ってさ。麻婆茄子の
👩👵「食べます!!!!!」
🍆「※Wikipedia(n.d.)『アルカロイド』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89(2022年9月11日参照)」
👩「本当にWikipediaだったのかよ」
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