10 神アイテムじゃん!要らんけど
つまりは今後の為に生産組を工業都市にキャリーしましょうってこと。
現状工業都市に戦闘職組が辿り着いたわけで何が予想できるか。当然メインフィールドの移行だ。
マップ換算2マス目の工業都市から先へ、換算3マスエリアともなれば現状の装備じゃ歯が立たないだろうね。
その辺考慮して換算2マップや解放された初期街の東西北の攻略を進めるにしても問題は先延ばしになるだけで。
どの道適正装備をそろえること考えたら生産組の引っ越しは必要だよな。
そうなると問題になってくるのは輸送能力。
ボスを倒したとはいえ現状4PTフル戦闘職での攻略だった。そこに非戦闘職を混ぜることを考えるとこれがなかなか厳しいもので。
PTの最大連結数は6、つまり36人が上限。だが連結数と参加人数によって相手のステータスも比例し上昇していく。
つまり輸送に関していえば足手まといを抱えた分だけ強くなるボスを倒す必要があるということ。
逆に人数を限界まで減らしたところでステータスの最低保証というのか、まあ基礎ステータスかな?それがあるから弱くなるわけではない。
むしろタンクへのケアや不測の事態に備えてリスクマネジメントを考えるならば複数PTが望ましい。
無理では?これ出来ても精々一回で二人位が限界じゃない?
「まあ普通に考えたら無理って思うか効率悪すぎるとしか思えんよね」
「その口ぶりだと何か解決策でもあるのか?」
よくぞ聞いてくれたとでも言わんばかりのレイズの表情を見るに期待値が上がる。
そうしてインベントリから取り出したのは一つの消費型光源。
「この前のレイドでも使ってたやつじゃん。それ置いたらだけ雑魚増えるからなぁ」
ついさっきというかレイド戦前に教えて貰っただけである。
可能性として光源数と雑魚PoP数が比例するかもという話で一応頭に入れといて欲しいというだけだった。
だって光源なくなったら戦闘できないからね、湧きが変わるとしてもどうしようもないわけで。
そんな分かりきった事を言い出した俺を見てレイズが口角を上げる。
むかつく、しばくぞ。
「そう、数時間前まではそうだった。ボスが倒されて次の町に行けると知って歓喜したしさ。でも実際はぎりっぎり、どこもかしこも回復アイテムすっからかんで遊撃班も一人を除いてボロボロだ。出荷枠がどこにあるんだって惨状よ」
実際にやってるだけに惨状を人から聞くと苦笑いしか出ない。
「そんで本題、これのSSね。見てみ」
同時に頭にシステム的着信音が響き視界の端でメールマークが点滅する。
1と表示された封筒アイコンを展開すれば目の前の光源アイテムの詳細が添付されている。
なるほど、見てもわからん。比べる対象もなければ事前情報も知らない状態で何をどう判断せよというのか。
「なるほど、わからん」
「引っ張るのもあれだから言うと可視照度の範囲が倍で持続時間が前回の戦闘時間以上」
「神アイテムじゃん」
「行ける気するだろ?」
「見つけた奴をエジソンと呼び讃えたい」
「個人的にはガイスラーでもいい気がする」
「結局蛍光灯ってあれどうなの、ピーターなヒューイットさんなのかゲルマーなのか。一般にはゲルマーぽいけど」
「知らんがな」
解せぬ。
設置光源の数を減らせるということは雑魚の湧きが減るんだよなぁ。
そうなれば遊撃というか処理役の数減らせて実質枠が空く。ついでに効果時間の関係で再設置の手間が省けて先頭に集中できるのもいい。
ヘイトさえ飛ばなければ火力0ってわけじゃないから削りも加速して案外いけそう。
「まあいいや、やるときは呼んでくれたらいい。それまではちょっと一人で新しいとこ散歩してくる」
「迷子センターから呼び出しくらいそう」
「保護されてる側が偉そうなのまでテンプレ」
「ぼっちなヒューマンのヤギリさーん御連れのエルフドワーフがお待ちでーす」
「迷子センターを消せば呼ばれないんだよなぁ」
「で、どこで迷子なるつもりなのよ?」
「インストロメリカの先…S3辺りちょっとだけ覗いてから解放された北か東でも行こかなって」
「西は混んでるもんな、平原だからやっぱ戦いやすいし。北ってやっぱり雪原とかなるんかなぁ」
「その点東はPTからは不人気だっけ?」
「まだ入り口周辺だけだけどね、木が結構密度高くてやりにくいっぽい。成木メインで茂みとかほとんど無いらしいしアンブッシュはマシっぽいよ」
「じゃあエルフになってくるわ」
「エサの民にならんようにね、あと素材とかよろしくー」
ではではその辺でポーションだの一応消耗品を補充して行きましょうか。
あ、でも長物武器ってやりにくそう…
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