第10話 朝から始まる柴田無双



「………はぁ。目覚めの悪い朝だ。」




スライムが本当は高値で売れた筈なのにキチンと市場を確認せずに安く売ってしまった俺はそのまま画面を閉じて寝てしまった。


攻略雑誌には属性持ちも1000ジェリーが相場と書いてあったが、それはこの雑誌が発売された頃の話だ。この雑誌を買ったのも柴田が始めてクリエイトモンスターズをやろうと誘われてた時だからもう1ヶ月程の前の話だった。


どうして俺は最後の詰めが甘いんだ。くそ。今後はこんなドジを踏まないように気を付けよう。




「そういえば柴田から連絡が来てたな………」




某メッセージアプリには20件以上の連絡が来てあった。


それは全て親友の柴田からのメッセージで埋め尽くされていた。




【やほ!クリエイトモンスターズありがとな!!紹介した特典きたよー!!】


【おーい】


【どうだー??たのしいかー?どんなモンスター当たったー?】


【おーい】


【今やってるよなー?】


【おーい】


【クリエイトモンスターズやっててきづかないのかー??】


【おーいおーい】


【明日の朝いくからなー?】



【おーいおーいおーい】


【7時にはいくからー!】





「7時って、今7時だぞ?」



ベットから起きてリビングに向かう。朝の俺のルーティーンはコーヒーを飲むところから始まるんだ。


柴田は朝早くから来るって言うし俺も準備しなきゃな。




「来ちゃった。てへ。」




「ああ。おはよう柴田。お前もコーヒー飲むか?」



と思ったら既にリビングに柴田がいた。もういるんじゃないかとは思ったけどな。


俺の家はマンションでオートロックの5階の部屋が俺の家なんだけどどうやって入ったんだろうな。鍵もない筈なのに。


「俺さあ?朝飯も食わないで来ちゃったんだよね?」


「ああ、じゃあそのまま軽く何か作るか………何かあったっけかな?」


冷蔵庫を開けるとそんなに食材はないがハムと卵、レタスを発見した。食パンもあったからトーストに目玉焼きとかで良いか?



「クリエイトモンスターズどうだった!?楽しい!?はまるっしょ!?」



「まぁ楽しいな。グラフィックも綺麗だしゲーム性も少しやっただけでも奥が深いのも分かる。


伊達に世界1位のゲームじゃないな。」



フライパンが暖まったのでハムを二枚落としてその上に卵を乗せた。ハムと卵が焼ける良い音がする。


その間にレタスを切って水洗いを済ませると皿を二枚準備した。


「でしょ!?所でモンスターは何が当たった?レアな奴引いた!?」


「ああ、見たら驚くぞ?驚きすぎて昨日画像を送ろうとも思ったんだけどさ、そのまま家に柴田なら来るんじゃないかと思って送るの辞めたんだよ。」


「え!?何が当たったの!?気になる!見せて!!」


「………そろそろ飯が出来るから食べたらにしないか?」





料理も出来上がりリビングに持っていく。朝だから軽食だが柴田には焼いた食パン、トーストを5枚別に置いてやり、俺は1枚だけ食パンを焼かずに準備する。


「いただきます。」



「いただきまーす!!うおー!!腹減ったああ!!」



朝から元気な奴だ。



それからも柴田は元気に話しかけてくるが俺は話し半分に聞きながらテレビで流れてくるニュースを見ながら朝食を食べる。



『異常気象によりヨーロッパ北部には強い大雨が………』


『大物俳優の明智 智久が電撃結婚!!お相手はあの………』


『クリエイトモンスターズの公式チームから電影が脱退!!』





テレビを見てるとすると気になるニュースがあった。俺が始めたゲームのニュースについて流れてきた。



『昨日、日本のトップ1位のチームから電影が脱退することを正式に発表されました。

電影は素性が明かされてませんがチームメンバーからは信頼も厚く世界大会でも活躍する実力者でした。

脱退する理由はチームメンバー曰く【相棒がクリエイトモンスターズを始めたから。】と言ってますが、日本のクリエイトモンスターズ、電影のファンは驚愕を隠せず外国のチームに所属するのではないかと噂されてます。』




日本のナンバー1のチームからか。俺もテレビでクリエイトモンスターズの大会も見た事あるが確かに電影だけは顔を隠して出場してたな。

その大会は生放送だったがチームの皆は電影に頼ってたように見えたし、リーダーが電影じゃないことに驚いたりもした。


トップランカーでアイドルをしている七瀬なんちゃらっていうのが告白したが撃沈したとバラエティー番組でやっていたから男なんだろうがどんな人なんだろうな。



「電影か………なんか柴田みたいな奴だよな?」



柴田もあまり名誉や名声、地位や金と言った人が貪欲に欲しいと思う物に執着がない。電影も柴田と同じでそういった物に執着がないし二人は似てると感じてしまう。



「え!?みっちゃん良く分かったね!!俺が電影だって!!


初めてバレてしまったああ!流石みっちゃん!!



これから宜しくな!相棒!!」



柴田はサムズアッブして素敵な笑顔で俺を見つめてくる。

口の周りに付いてる食べかすがとてもシュールだが………





「だろうな。お前は何でも【俺ファースト】だもんな?」





柴田がハマってるゲームで柴田が実力者じゃないなんて思う俺じゃなかったが、俺なんかとゲームしたいだけでトップチーム辞めるなよ………




「宜しくな?相棒。」




これだから俺の親友は困ったもんだ。





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