間章 やはりメイドが何を考えているのか分からない
第23話 ヴィーの奇行1
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討伐者の三人が帰って行った。
まあ、ヴィーが帰したとも言えるが。
ともかく、これで日常が戻ってきた訳だ。
何をしようか?
さっき朝食を食べたばかりで、昼食までは時間がある。
畑で野菜の様子を見ようにも、シルヴィアからあまり水をやりすぎても毒だと注意を受けた。
手持ち無沙汰だ。
何かやることは……。
……。
いけないな。
やっぱり社畜時代の習慣が抜けてない。
何かをやってないと安心しないのは病気だ。
生き急いではいけない。
一度初心に返ろう。
俺は異世界でスローライフをやりたかったんだ。
決して働きたい訳ではない。
スローライフ、か。
物作りとか?
他には?
……。
無趣味だった弊害がここで来るか。
いや、待て。
趣味か。
少し前に趣味を考えたな。
剣道はどうだ?
健康のために身体を動かすのは効果的だ。
まあ、動かなくても問題ない身体になったのだが。
それでも趣味としてスポーツを始めるのは悪いことじゃない。
となれば、木刀を用意するか。
さっそく俺は工房へと向かう。
木刀を作るための木材は、先日エイルが切り倒した木を利用することにした。
切り倒した当日にヴィーの魔法によって、加工が可能な乾燥した状態になっている。
まずはノコギリを使い、木材を木刀の長さに切断する。
100cmもあれば十分だろう。
……短いな。
やり直し。
長さを120cmに変更。
まあまあ、か?
これだと単なる丸太だから、ここから棒状に加工。
……面倒だから割るか。
斧を使い、薪割りの要領で木材を割る。
木材が堅いからか、折れたりささくれ立つこともなく、スムーズな加工ができた。
出来上がったのは5×5×120の棒状の木材。
ここからカンナ掛けをして形を整え、ヤスリで表面を滑らかにすると女神の指南書には書かれている。
普通に暗黒竜の鱗でヤスリ掛けした。
カンナを一々使うよりも、こちらの方が数段早い。
総作業時間、5分。
……味気ない。
捨てるのは勿体ないが、コレじゃない感が凄い。
それに加えて、木刀だと思ったよりも重さがない。
試しに素振りをしてみても、発泡スチロールでも振っているのかと思うくらいだ。
素材変更。
グランドイーターの牙で剣を作る。
これなら竹刀とまでは行かなくとも、塩ビパイプくらいの重さがある。
本来なら暗黒竜の牙で剣を作りたい所だが、俺の加工技術と道具の関係上、長い時間が掛かることが予想された。
前回同様、暗黒竜の鱗を砥石代わりにし、グランドイーターの牙をひたすら削っていく。
今回は2時間くらいで納得のゆく作品が完成した。
会心の出来だ。
慣れたからか、前回の剣より良いモノができたと自負している。
となれば、試し斬りをしたいところ。
エイルみたいには行かないが、ただ剣を振るうだけなら俺にもできる。
倒れてくる樹にだけ気を付けることにしよう。
さっそく工房を出て、前回試し斬りをした森の境目に向かった。
「お疲れ様です。良い作品は完成しましたでしょうか?」
「何やってるの、ヴィー」
何故かヴィーがいた。
それだけならまだいい。
問題は、無残に切り倒された丸太の山。
ここは木材加工場かと思うくらいの丸太が何十本と積み上げられている。
「たまには剣を振るうのも悪くないと思いまして」
「剣?」
「これです」
無手を疑問に思った俺が問いかけると、ヴィーは虚空から一振りの剣を取りだした。
明らかに魔剣に分類されそうな黒剣。
刃には紫色のオーラが纏わり付いている。
剣を構えたヴィーは目の前の樹に向き直ると一閃。
素人目の俺でもわかる。
ヴィーはエイル以上の実力者だ。
構えを解いた瞬間、樹が崩れ落ちる。
そこには綺麗に揃えられたブロック状の木材が並んでいた。
……。
「どちらへ行かれるので?」
「畑だ」
ヴィーの後に試し斬りをしたくない。
というか、これ以上木材を増やしても仕方ない。
アレだけの量、何に使えばいいんだよ。
試し斬りは後日、狩りの時にでもやるとして、今は畑の様子でも見よう。
昨日、シルヴィアと半分くらい種まきをしたので、今日は残りの種まきをする予定だ。
昼食前に畝を整えて、水を撒くくらいのことはしておこう。
……。
「……これも、お前の仕業か?」
「菜園を作っていらしたので、些少ではございますがお手伝いをさせていただきました。たまには農業もよいものですね」
いや、手伝いのレベル超えてるだろ。
目の前に広がるのは、俺が冗談半分で耕した畑。
昨日までは土色だったそれが、今では緑に覆われている。
シルヴィアと一緒に植えたトマトの種は発芽を通り越し、立派に成長している。
よく見ると、実まで付けてるし。
今朝見たときは普通に畑だった。
それがあと数日もあれば収穫できる状態になっている。
「今朝までは種だったハズだけど?」
「『
便利な魔法もあったものだ。
ともかく。
昼にやることを探すところから再開しよう。
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