第13話
あたし、マンドラゴラ! マンドラゴラ・オフィシナルム! もう「ま」と打ち込むだけで予測変換に「マンドラゴラ」って出るくらいにあたしのこと考えてるでしょ! 出ない? なんで? 出してよ! ねえ! マンドラゴラちゃんってちゃん付けでいいから! なんで? 「マンドラゴラさん」ってさんまでセットで出てくるの? じゃあいいよ!
しいぃっ……。声を立てないで。……今ね、あなたの頭の中に直接語りかけてるの。聴こえる……? あなたにだけ、聴こえる声で、心の中から、ね。あたしがSNSとかで叫んじゃうとさ……、絶叫毒まで拡散しちゃって、バズり具合次第で大規模テロに発展しちゃうじゃない。……だから、あなたたにだけ。なんて! 嘘! あたしの声、ネットの海を渡って世界中にバズれ!
さあ! 再びやってまいりました異世界! いい加減異世界でやることなくなった? せっかくの異世界もったいないよ! 異世界在住の異形の者に転生したり! 一人じゃなくて学校のクラスまるごと転移したり! 強さの概念ぶち壊しのLv999とか! ……ないわね。ほんと、やり尽くしちゃった感じ? だったら帰れば? ねえ! 帰れば! 帰りたくても帰り方がわからない? いいの! 帰れば?
やっぱり異世界って奴は、42歳住所不定無職男性魔法少女が惨たらしく死ぬ5秒前に見る走馬灯なのね。脳内麻薬が見せてくれるささやかな理想の生活。それが異世界転生。そう。異世界は帰る方法なんてない死後の世界。何をやっても無駄ね! いいの! 実はね、あたし、異世界から帰れる方法を知ってるの! ねえ! あたし、マンドラゴラ! マンドラゴラ・オフィシナルム! 自分の意思で異世界を歩き出す前に、足に絡みついた草を解かないと。とてもきれいな翡翠色した葉っぱに手をかk
You are dead.
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