第6話


 あたし、マンドラゴラ! マンドラゴラ・オフィシナルム! 別名マンドレイク! 気安くドレイクって呼んで! 嫌? なんで? まあいいか! 何でもいいよ! 「マンドラゴラさん」って呼んで! 嫌? なんで? よくない! ねえなんで? オンナノコの「何でもいいよ」は何でもよくないの! めんどって思った? いいの! だから!


 マンドラゴラの花言葉、それは「恐怖」! は? なんで? 花も恥じらう女子高生捕まえて「恐怖」呼ばわり? 物言わぬ植物だからってそれってあまりに横暴じゃない? こんなきれいな翡翠色の髪を「恐怖」って! 命名した人って何様のつもりよ? あたしはマンドラゴラ様のつもり! 叫ぶぞ? いいの?


 実は花言葉って自由につけられるの! さすがに新種の植物を最初に発見して命名者になるのは難しいけどさ! 観賞用のお花を品種改良して新規ブランドを立ち上げたら、花言葉名付け放題でもうやりたい放題! 花言葉を管理運用する国際機関も存在しないしまさにやったもん勝ち!


 というわけであたしは肉言葉ってのを考えました! 鶏の肉言葉は「串刺し」! 豚の肉言葉は「繊細な脂」! 牛の肉言葉は「舌を絡ませる」! あんたたち人間どもの肉言葉は今日から「木綿みたいな絹豆腐」ね! みんなお肉の食味に関しての肉言葉! え? 人間の肉言葉がなんでお豆腐かって? 人間は豆腐味? なんでか、知りたい? ほんとに……? じゃあ、……耳を貸して……。あのね……ィギニャアアアァァァッそろそろパターン覚えてねえっ!




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