第2話 奴隷になりかけて逃げていたら、イケメンに遭遇した

 ここどこ?

 さっきまでいた公園じゃないじゃん!

 えっと、展望台に行って、フェンス超えて、そこから、転落していて、そして今。なのに公園じゃない。


 どうなってるの?


 一つ考えられるのは異世界転移ってやつ?

 ……いやいや、まさか。ないないない。

 転移させられるのってだいたい何かしらの強い力を持った人でしょう? 私にはそんな力とか無いから。

 でも、ここにいるのはまずいかな。だって、ここ、墓地の前だもんね。なんかたたりでもあるかも。いやだなぁ。

 でも、どこに行けばいいんだ?まずは、近くの町でも目指してればいいかな。

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 そんなことを考えながらのろのろと歩いていたが、いっこうに町も見えない、おまけにメインの道もない。ずっと森…。

 なんで⁉変な方向にでも進んだのかな?周りに人でもおらんかな?そう思い、周りをキョロキョロと見回りながら進んでいると、一軒の民家を発見した。そこの住人に話を聞こうと一歩進んだとたん、穴に落ちてしまい気絶しました。


 気づいたら、さっき見た民家に運び込まれていたようです。そこの住人にあいさつしようと起き上がった私、そこで恐ろしいことを耳にした。


「さっき穴に落ちた子、超かわいかったなー。俺の嫁さんになってほしいぜ。」

 へー、やだね。

「おいおい、それはだめだぞ。お前が金払って買うならいいけどなぁー」

 は?金?買う?私を?どゆこと?

「彼女はどこかのお偉いさんに買い取ってもらうんだからな!あんなに可愛んだから、相当の値だぞ。」


 お偉いさんって貴族とかってこと?つまりは...私このままだと奴隷になるの⁉それは嫌だよ!こんなことになるのは嫌だよ!ここから逃げなきゃ!


 でも、どうやって?ここって裏口ないのかな?そこから逃げるのに…

 そう思い、窓を覗くとさっき落ちてしまった穴とは反対の方向に大通りがあるのを発見!しかもその先にはお城のような建物の影が!

 そこに行こう!でもどうやって?考えながら部屋をぐるぐると徘徊していると、本棚にぶつかった。

 この本棚少しおかしい。壁の真ん中にあり、窓側との間に同じものをもう一つ置けるような作りになっていた。


「これ、もしかしたら本棚を押したら洞窟とかが出てくるやつ?ゲームとかのトラップによく出てあるやつだー」そう思い、一生懸命押すがうんともすんともいかない。

「全然動かないー!こういう時は本で動くのかな?」


 そう思ったのだが、どれが鍵なのかわからないのだ。全部魔法に関する本で、しかも何もヒントがないのだ。

 困り果てていた時、私を売ろうとしていたチンピラどもが、「そういえば、そろそろ獅子が起きてくるかな…。」

「いやだぜ。また取り逃がしたって言われたら」

「そうだよな…今度は大丈夫か確認しようぜ」そう言い、足音が近づいてきた。


 獅子?ライオンのことだよね?そういえば本棚にライオンのマークが入ってる本があったなぁ。


 そんなこと思っている場合じゃなかったのにそう思い、さっき見つけたその本に手をかけ、引くと本棚がひとりでに動き、扉が現れた。

 自然とドアノブに手が伸び、回そうとしたところで、部屋の扉があいた。傭兵らしき人が二人いた。どっちも帯剣しているが、あまり腕はうまそうではなかった。なんでそんなことがわかるんだろう?

 

 まあいいや。ここから逃げよう。握ったままだったノブを回し、外に出る。そのままさっき見ていた城の方向へと走り出す。傭兵が後を追ってきているが、足の速さではこっちが勝っている。


 どうにか、メインの通りに出て、角を曲がろうとしたら荷台を引いていた少年にぶつかった。謝り通り過ぎようとしたら、「こんなところで何してるの?」と聞かれた。驚いて顔をあげるとすごくイケメンだった。答えようか答えまいか、あたふたしている間に傭兵に追いつかれてしまった。


「彼女をこっちによこせ」そう言っている。しまいには手を引っ張り連れて行こうとする。

『戻りたくない!奴隷になりたくない!』そう心で思っていると、自然と手に力が入りイケメンの服を引っ張っていた。


 そこで彼は何かに気づいたようで「彼女は嫌がってるよ。無理に連れていくのは感心しないなぁ」とのんびりと言った。そのまま左手を伸ばして私を抱きかかえ、もう片方の手を傭兵たちの方へ向けた。


「正しき光の裁きを受けよ、光の剣バルドル!」


 そう彼が叫ぶと空から光でできた剣が降ってきて、傭兵を滅多打ちにした。

「これに懲りたらこのようなことはもうやめるんだな。」そう言った途端、傭兵は慌てふためきどっかへ行った。


「ふぅ、まったく疲れたよ。けがはない?大丈夫?」そう言われるまで私は魔法の余波の中だった。

「あっ、はい。助けてもらいありがとうございました。魔法すごかったですね。」


 そう言い、彼から離れようとした途端、体が傾いた。

 彼に支えてもらったが、記憶がなくなりかけていた。

「大丈夫、僕は君が嫌がるようなことはしないと約束するよ。だから、ゆっくり休んで」そんな言葉を聞いて、私はまた眠りに入ってしまった。

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