願い続けた【ナイスバディ】
たから聖
第1話 『ママ、良かったね?』
幸せを絵に描いた様な家族の
物語……。だったはず。
『まま、高望みし過ぎは……
良くないよ?僕は今のママが
好きなんだ。辞めといた方が
……。』
『イヤだわ!この子を産んだら
ナイスバディに戻るわよ!
もう、決めたんだから。あなた
だってスタイルが美しい方が
嬉しいでしょお?』
『…………。』
お腹の赤ちゃんが産まれて、
さて落ち着くかと思ったのに。
(女って、これだからイヤだよな)
僕は深いため息をつく。
確かに、妻のスタイルの良さに
ひかれたのは事実だ。
だけど。せっかくの赤ちゃん
誕生前に、まるで違う男を探すかの様な発言に……
僕は、嫌気がさしていた。
だけど、ここで言い合うのもナンだしな…………僕さえガマン
すれば。
♠『赤ちゃん誕生直後』♠
『あら!?あなた、どうしたの?野菜サラダしか食べ物が無いけど?』
『はぁ~、、、お前が痩せたい
だの、ナイスバディだのと話してたじゃないか?だからさ。』
『あ、あぁ、そうだったわね。』
『でも、母乳あげるとお腹が空くのよね?!私、やっぱり……
何か買いに行くわ!』
赤ちゃんが、母乳が欲しいと
ぎゃあぎゃあと泣いている。
僕は思う。
『こんなはずじゃなかった。
僕が、子供を作ってくれ。と
言ったのが、いけなかったのか?』
泣き続ける赤ちゃんに粉ミルク
を馴れない手つきで作る。
『ヨチヨチ。ほら、のむんだぞ。』
その時…………赤ちゃんの目が
赤く光り輝いた。
『…………??!え!!』
『お前が父親か?全く俺を勝手に作っておいて、何がナイスバディだよ。舐めた真似したら、俺は
あのババアを殺すぞ。』
『粉ミルクなんて呑むかよ?
肉🍖出せや!肉!!テメェ!』
僕は、自分の子供が
目を赤く光らせてドスのきいた
声を発している光景に
ただただ驚いて、赤ちゃんを
床に落としてしまった!
『ふぎゃあふぎゃあ!!』
赤ちゃんが、泣き出す。
肉?……肉をよこせだと?
僕は、赤ちゃんに逆らえなかった。冷蔵庫を開けて
とびきりのお肉を焼き始めると
赤ちゃんは、その香りをかぐと
泣き止んだ。
そのうちに、妻がスーパーから
帰ってきた。
僕の奇行を見ると……妻は言った。
『あなた!!何やってんの?
赤ちゃんにミルクもあげないで!
ひどいわ!おぉヨチヨチ』
肉を焼く手を止めると、
赤ちゃんは首をグルリと回し
こちらを睨む。
妻は気が付いて、ないみたいだ。
赤ちゃんの目が怖くて、
慌てて食事を用意すると……
妻は、赤ちゃん用の肉を全て
食べてしまった。
『あ…………。』
妻は大量のお肉を、満足げに
ほおばり、瞬く間に平らげて
しまった。
僕は、怖くなり妻と赤ちゃんを
家に残して実家へと一旦避難した。
『ゼエゼエ。ハァハァ。これは
本当に起こった事なのか?!』
僕は実家に帰ると、脂汗をたくさんかいていた。あまりの恐ろしさに、僕は妻を置いてきたのだ。
♠『ババアを殺す!』
脳裏によぎる、あの恐ろしい言葉……。まるで悪魔の様な
赤く光る目をしていた……。
僕は、身震いをすると
その日は実家に泊まったのである。久しぶりに息抜きが出来た
事もあり、
その日は、グッスリと寝入ってしまった。
次の日、やはり妻が心配になり、
自分の家へと帰ると…………
『ガシャーン!!!』
とんでもない音が聞こえてきた。
恐る恐る、家の中の様子を見ると
…………。
妻の変わり果てた姿を見る事と
なってしまった。
赤ん坊が、何処をどうしたのか?
妻の口から、太い棒が刺さり
その棒は体を貫いていた。
知らぬ間に、幼稚園児ほどに
成長した、息子は…………
妻を庭で焼きながら、食べていた。まるで地獄絵図のような光景に、
僕は口から悲鳴を上げた!
グルリと首を回して振り向く幼稚園児は……
僕の姿を確認すると、
『ママをナイスバディにする為に、余分な肉を削いだからね?!パパ❤』
幼稚園児ほどに、瞬く間に育った息子は……
次は……お前を食べてやろうか?
と……言いたげだった。
息子に、殺される!!!しかも
喰われるなんて?!
『か、神よ!なんでだ!』
足が震えて動けない。
この息子は……俺の子供じゃない!!!
俺は、庭に落ちていた石を
思い切って息子の頭めがけて
殴った!!
血が吹き出たかと思った時……
どこかから、鈍い感覚と音が聞こえた。
目を向けると、
僕の足がなくなっていた。
幼稚園児ほどの息子が目を光らせて笑っている。
『…………グジュッ』
僕は意識を失って倒れてしまった。
我が子供は……?ホントに?!
こんなこと
あって、たまるか!!!!
噛みつかれた時……何故か?
暖かい空気に包まれた。
僕は、いつしか。
赤ちゃんにミルクをあげながら、
昼寝をしていた。
『夢か…………。はぁ~
よかった~~。』
赤ちゃんを見るとニコニコと笑っていた。
赤ちゃんの頭を撫でると、
誰かに殴られた様な傷跡があった。
僕は傷口を覗き込むと
赤ん坊が目を光らせて牙を見せた。庭に目をやると。
妻がバーベキューをしている。
『あなた!!お肉焼けたわよ!』
その肉…………。
『お前か…………?』
~END~
願い続けた【ナイスバディ】 たから聖 @08061012
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