異世界転生者の無窮冒険記
雪焔 善
第1話 プロローグ
眩しい光が、視界に入ってくる。
「産まれた! 産まれたぞ、ルナリア!」
「えぇ……。トール、この子はゼオユーラン———ゼオンよ」
「じぇおん……?」
「そうだぞ! お前の弟だぞ、トール!」
身体を自由に動かすことができない。
恐る恐る目を開くと、ぼんやりとだが此方を覗き込む影がいくつか見えた……
♢
そんな見慣れた夢から覚める。
「ふわぁぁ……」
そんな気の抜けた声を上げるのは昨日、一応10歳となった俺、ゼオユーラン・ルクーツドだ。
一応、と表現したのは、俺に前世の記憶があるからだ———
「ゼオンー、ご飯の時間だぞー」
「分かったー、今行くよー」
家の一階に降りてすぐの部屋に入る。
そこには、目立つ赤色の髪に琥珀色の瞳———カラード・ルクーツドが椅子に座っていた。彼は俺の今世の父親で、俺に呼びかけた張本人だ。
その隣には父親と同じ特徴をもつ、ルクーツド家の13歳の長男、トールが座っている。
彼らはいつも通り、汗をかいていた。
「また朝から庭で修行……?」
「おう! 当たり前だろ!」
「ゼオン、お前は才能があるのに鍛錬もせずに遅起きとは……もったいないなぁ」
トール、カラードがそう答えた。
「朝からやる必要はないだろ? それに知っての通り、俺は成長が早いんだ」
まぁ、成長が早いのは俺のステータスが関係しているのだが……
「そうよ、ゼオンは戦う必要なんてないんだから」
そう言いながらやってくるのは、ピンクブロンドの髪を後ろに流した、青色の瞳を持つ25歳(自称)の女性、俺の母親ルナリアだ。
因みに、今世の俺はピンクブロンドの髪に琥珀色の瞳で、ルックスの良い両親の性質をそれぞれ受け継いでいて、容姿に優れていると思っている。
「いや、男なら自分の身は自分で守れるようにならんとな!」
「あなたは、30歳なのにまだまだ元気ね!」
「そんなこと言ったってお前も1ヶ月後にはさんじゅ———ッ」
……俺の両親はこのシュッペルゼ王国の王都にある学園で同級生だったらしいからなぁ。
母から電撃を喰らっている父を横目にそんなことを思い出す。
「あのー、そのことなんだけど……」
「はぁ? ゼオンも私の年齢を……??」
「いやいや、そうじゃなくて! えーと、俺は10歳になったわけだし、冒険者になりたいって思ってるんだ」
「……えっ!?」
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