第123話 乱入者

 ディートヘルムをエイクに任せた俺達は、城壁を降りて既に戦場へと出ていた。


「行くぞ野郎ども!! 相手は弱っている!! 今のうちに出来るだけ数を減らすぞ!!」


「「「「「「「おうッッ!!」」」」」」」」


 兵士たちは良い返事をして弱っているモンスターへと突撃していった。


 一方俺とサラはと言うと、


「俺から絶対に離れないでくれよサラ」


 俺はサラの手をしっかりと繋いだまま言う。


「……ん。恥ずかしいけどしょうがない」


 と言う割には嬉しそうに指を絡めるサラ。


 正直めちゃくちゃ嬉しいが、喜ぶのはまた後にしておく。


 先程ディートヘルムを感知できなかったから、油断していたら本当に危ないことに気づいた。


 俺はもしものためにサラに【結界・神】の《聖盾アイギス》を発動しておく。


 これは誰かに使うのは初めてだが、その硬さは実証済みだ。


 俺の全力の攻撃に5回も耐えれた現時点で俺が張れる最強の結界である。


 俺はそれが終わると、サラを連れて弱った下っ端魔族の元へ行き一閃で仕留めていく。


 きっとこの中には戦争に反対したものもいたのだろう。


 そんな奴らに俺ができることはなるべく早く苦痛から解放させてあげることだ。


 最近は特に感じているが、この世界はゲームのようでゲームじゃない。


 お腹はすくし眠たくもなる。


 殴られれば痛い。


 だが俺は敵となった相手をよっぽどの理由がない限り許すことはない。


 許してサラの身に危険が降り注いで欲しくないからだ。

 

 ただでさえ死亡フラグに愛されているからな。


 俺は淡々と魔族の首をはねていく。


 兵士の頑張りもあり、僅か20分程度で見渡す限りでは敵がいなくなった。


 そのため兵士たちが安心したのか、その場に座り込んだり喜びの歓声を上げたりしている。


 俺は手を繋いでいるサラに『お疲れ様』と声をかける。


「ん、ありがと。ソラも、おつかれ」


「まぁ……殆ど魔道具と兵士に任せてしまったけどね」


 実際は何もしてないさ、と頭をかきながら言う。


「……魔道具は、ソラの物。兵士は、ソラが鼓舞した。全部ソラのお陰」


「ありがとうサラ。……やっぱりサラは優しいなぁ」


 そしてめちゃくちゃかわいいなぁ……。


 ここが戦場じゃなかったら抱きしめてたのに……本当に惜しいな……。


 それにまだ終わりじゃないしな―――


「サラ、よく聞いておいて」


「……?」


 俺が突然真剣な表情になって話し始めた事によりよく分からなそうに首を傾げているサラ。


「今からサラを転移石でエレノアのところまで飛ばすから、じっとしていてくれ」


「……ソラは?」


 サラが心配そうに言ってくるので、できるだけ安心させるように笑いかける。


「大丈夫だ。兵士たちを学園長に返したら直ぐに戻るから」


 俺がそう言うと、サラはまだ信じていなかったが了承してくれた。


 俺はサラに転移石を持たせて発動させる。


『エレノア、そちらにサラが来たか?』


 俺は通信魔道具を起動させて言うと、直ぐに返信があった。


『は、はい、いきなり現れました』


 どうやらちゃんと発動したようだ。


 俺はホッと安堵の息を吐きエレノアに指示を出す。


『エレノア、俺がサラの元に戻って来るまでサラを守っていてくれ。』


『……了解しました。――……ムチャだけはしないでくださいよ』


 どうやらエレノアには俺が何をしようとしているのか分かったようだ。


 毎回エレノアには苦労をかけているのでそろそろ何か恩を返さないといけないな……。


 俺は兵士を王都の中まで入れて1人戦場へと戻っていく。


 そして十分に距離が取れたと思うので声を張り上げて宣戦布告する。


「いい加減に出てきたらどうなんだストーカーが」


 俺がそう言うと何かが空の上から落ちてくる。


 それも物凄いスピードで。

 

 そしてその落下の力が籠もったパンチを繰り出してきたので神気を纏って応戦する。


「くッッ!?!?」


「―――ッッ!?!?」


 2人は耐えきれずに吹き飛んで辺り一面に衝撃音が響きわたった。



---------------------------

 この作品が、面白い! まぁまぁかな? 続きが読みたい! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

 また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などの報告を頂けると作者の励みになります。

 ではではまた次話で。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る