第104話 この程度でやられるわけないじゃないか②

 俺は瞬きの間にレオンの元へ移動し拳を繰り出す。


 しかしギリギリのところで気付いたレオンが拳と体の間に剣を滑り込ませる。


 『ガキンッ!!』と言う金属音が鳴り、レオンが後ろへと吹き飛ばされると同時にアランが仕掛けてきた。


「はぁああああ!! 【星光剣ルミナス・セイバー】ッッ!!」


 アランのスキル【勇者】の技の一つである【星光剣ルミナス・セイバー】は、星の光の剣を生み出し光速で相手を斬る、バフ&攻撃技だ。


 正直言ってぶっ壊れチート能力である。


 しかし今の俺には通用しない。


「【絶対回避】」


「な―――ッッ!?」


 気付けば俺は離れたところに移動しており、アランが空振ったことに驚いている姿が見えた。


 よし、ちゃんとゲームと同じく避けれたな。


 そして基本的に【星光剣】は回避不可能なのでアランが驚いているのはしょうがないことだ。


 ゲームでも、S+装備のスキル【神速】か、【絶対回避】がないと避けれない強力な技だからな。


 確かに良い攻撃だったがまだ足りない。


「どうした? レオンもアランも俺と戦う気がないのか? レオンは攻撃しないしアランは空振るし」


「チッ、んなわけあるか!!」


「そうだよ、この程度だと思わないでね!!」


 俺はわざと煽り、戦意を復活させる。


 と言うかこの程度だと思わないでとか言っているが、お前たちがいくら本気出しても俺にとっては大して変わらないんだけどな。


 心のなかでツッコんでいると、一瞬でアランとレオンが同時に俺の懐に入ってきた。


 ふむ……レオンは【加速】を使って、アランは【勇者】スキルの【縮地】を使ったようだ。


 まだスキルレベルが低いせいか思ったよりも速くないが、多分殆どの人間には対応できない速度だろうと思えるほどには速かった。


 俺は【魔闘気】を拳にまとわせて2人の剣を握り潰さないように掴む。


「くッ!?」


「なっ!?」


 2人が自身の最速攻撃を防がれて驚きの声をあげている。


「そんな驚くことでも無いだろ……」


 俺は2人の剣を離しながらバックステップで2人の攻撃範囲外へと移動する。


 まぁあの諜報員達よりは強いな。


 流石勇者パーティーと言えるか。


 と言うかレオンはいいにしても、アランは狡くないかい?


 いくらなんでもスキルが強すぎるて。


 もう少し技術を磨こうぜ……。


 まぁ俺も人のことを言えないけど。


「くそッ、おい、アラン! いつもの必勝パターンで行くぞ!」


 このままでは俺を倒さないと思ったのか、レオンがアランに合図を送った。


「了解だよ! それじゃあ少しソラ君には付き合って貰おうかな! 【勇気ある者】!!」


 アランがそう言うと、突如アランから光が発生する。


 はぁ……これは少々面倒だぞ……と言うかどうしてもう使えるんだよ……。


 使えるようになるのってもう少しあとじゃなかったっけ?


 このスキルは【勇者】の中でも特に強力な力を持っている。


 それは———


「ごめんねソラ君。少し待たせたよね」


 そう言って現れたアランには、白銀の剣と鎧が装着されており、見るからに神々しくなっていた。


 そう、【勇気ある者】と言うスキルは聖剣と聖鎧を召喚するスキルなのだ。


 そして何より厄介なのがこの装備達。


 聖剣は魔法も斬れるしオリハルコンも斬れると言うぶっ壊れ武器で、専用スキルも2つ持っている。


 しかしデメリットとしては、自身よりも強すぎる相手の魔法などは斬れないと言うことくらいかな。


 そして聖鎧は物理、魔法完全防御だ。


 これもある程度のlevel差があると使えないが。


 あとはどちらも装備しているとステータスが爆上がりするくらいだな。


 こう考えるとこれは少し面倒だな……まぁ俺にはステータス倍増と専用スキルくらいしか脅威では無いんだが。


「それじゃあ行くよ! 【光輝なる舞ルミナス・ダンス】!!」


 アランが全く読めない動きで俺に攻撃を仕掛けてくる。


 相変わらず面倒な技だ。


 俺は反撃されるのも面倒なのでに最小限の動きで躱す。


「どうだいソラ君! これが僕の全力だよ!」


「まぁ、それなりに強いんじゃ無いか?」


 多分エレノアには一撃だろうけど。


「それなりか……でもそろそろ苦しくなる頃だと思うよ! 僕は聖鎧のお陰で体力も怪我も自動で治るんだ! それに比べてソラ君は治らない! それに装備すらしていないじゃ無いか!」


「まぁまだ必要ないからな」


 俺は余裕で避けながらそう返す。


 余裕とは言っているが、実際はこのままの状態だと少し厳しい。


 まぁ身体強化すら使ってないからな。


「……なら必要にさせてあげるよ! 専用スキル【滅魔の剣】ッッ!!」


 ただでさえキラキラ光っていた聖剣が更にひかり、一回りほど大きくなって俺に振り下ろされる。


 うーむこれは魔闘気だとダメだな。


 ただ《聖剣気》を使うほどでもないし……。


 よし、受け流し1択だな。


 俺は目だけを部分強化し、聖剣の動きを注視する。


 そして上手く力を受け流しながら回避し、回し蹴りをアランの胸に喰らわせる。


 するとガードできなかったアランが衝撃で吹き飛ばされる。


「くっ、やっぱりこれではダメだったね……でも僕に意識を向け過ぎだよ」


 アランがそう言った瞬間に入れ替わる様にしてレオンが現れ、


「食らうがいい! 【崩剣】ッッ!!」


 先程のアランの専用スキルよりも更に威力の高い振り下ろしが繰り出された。


 まぁ確かに初見だったら危なかっただろう。


 そう、な。



「……【神気】発動」


 俺は20%くらいで神気を発動させる。


 すると俺の周りに聖剣に勝るとも劣らない白銀の輝きが現れる。


 そして特に力を入れることもなくレオンの剣を受け止めた。


「「なっ!?」」


 アランとレオンが同時に驚きの声を上げる。


「何を驚いている。お前達は本当に俺に勝てると思っていたのか?」




———だとしたらお前達はすぐ死ぬな———





 俺は一瞬でレオンの剣を折り、10発の殴打を繰り出す。


 そしてレオンが吹き飛ぶ前にアランの元に移動し、神気を纏わせた拳で聖剣を破壊。


 そして聖鎧越しに何十発もの殴打を喰らわせる。


 俺は先程いた場所に戻り【神気】を解除。


 すると2人は物凄いスピードで吹き飛び、セリシア先生の比にならないくらいの音と衝撃を発生させて壁に激突する。


 砂埃が収まり、2人を見てみると激痛に顔を歪めた状態で気絶していた。


 こうしてレオンとアランはほんの0.数秒で戦闘不能となった。


 俺は周りの気絶した4人を見て呟く。





「この程度でやられるわけないじゃないか」





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はい、めちゃくちゃスッキリしました。

次はソラのお説教かな?

お楽しみに!

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