第76話 サラに会いに行こう!

 エレノアへの弁明に始まりモンスターの弱いところに行ってモンスターを狩り尽くすこと4時間。


 なんとか許してもらった俺は、お詫びも兼ねて《魔法の指輪》からあるものを取り出す。


 それの見た目は手の平サイズの豪邸の模型みたいのようだ。


 エレノアもいきなり模型を出した俺に驚いている様子。


「どうしてこんな物を……? ———まさか……!」


 どんどん顔を青ざめさせるエレノアにニヤッと笑いかける。


「そう、そのまさかだ!」


 俺は適当な場所に豪邸の模型を投げ、指を鳴らす。


 すると途端に模型だったものが大きく、実際の豪邸と同じ位の大きさになった。


 俺は胸を張りながらエレノアに説明する。


「これは魔道具の1種でな、電気も火も水も普通の家と変わらず使えるし、中には全ての家電魔道具が揃っており、食材まで完備してある、名付けて《豪華なお家セット》!! これさえあれば旅は快適なこと間違いなし! というのが売りの高級魔道具だ。森では大きさの兼ね合いで出せなかったが、ここには邪魔となるものがないから使えるのだよ!!」


 俺はどうだとばかりにエレノア見ると、まさかの無表情だった。


「ソラ様……それ高かったんじゃ……いやそれはもう言いません。それよりお風呂はありますか……?」


「あるにはあるが……魔道具のほうが早いぞ?」


「いえ大丈夫です早く中に入りましょう!!」


 魔道具を拒否して途端に笑顔になり、豪邸に駆け出すエレノア。


 やはり数多のラノベや漫画であるように女にとってそんなにお風呂って大事なのか……。


 てっきり創作の中だけだと———ん?


 この世界もそういえばゲームと類似する世界だったな。


 なら創作の中になるのか……?


 まぁそこの所は後々解き明かしていくとしよう。


 俺は考えるのをやめて家の中に入った。






☆☆☆






 中は中世の豪華な屋敷かと思ったら、どちらかと言うと前世の日本の豪邸に似ていた。


 まぁ兎に角広い。


 前世でも庶民だった俺には想像もできないほどの広さだ。


 具体的に言えば普通の一軒家5個分くらいの広さがある。


 リビングなんて余裕で100坪位ありそうだ。


 しかしこう落ち着いた場所に来ると———


「……サラに会いたい」


 思っていたことが口に出る。


 だってしょうがなくない?


 もう何日もサラに会えていないんだよ?


 まぁ毎日連絡はしてるけどさ……。


 そう考えていた時、俺の持っている連絡魔道具から音が鳴る。


 因みにこの連絡魔道具はサラ専用だ。


 よって相手は自ずと決まってくるわけで———


『もしもし、ソラ?』


 連絡魔道具を起動するとサラの天使の声が聞こえてくる。


「もしもしサラ、ソラだよ」


『ん。よかった。ちゃんと生きてる』


「心配してくれてたの? 今までそんなこと言ってなかったけど……」


『エレノアが、ソラ無茶したって』


 いつの間にエレノアと連絡してたんだ?


 まぁ後で聞いてみるとして、今は。


 ああ……心配してくれてたんだぁ……。


 俺は幸せに浸るのだ!


 俺はそれだけでエイクに丸腰で挑めるよ———! 


「だ、大丈夫だって。そんな無茶してないから」


「んーん。ソラは無茶しすぎ」


 電話越しでもサラが今頬を膨らませていることがわかる。


 何て可愛いんだできれば今すぐその天使のようなご尊顔をこの目で見たいいや行くか一度きりしか使えないアイテムだけど行くかいやでもそれはもしもの時に俺とエレノアが逃げるのに使った方がいい気も———


『ソラ、やっぱり疲れてる?』


 心配そうな声色のサラ。


 俺はその声で意識が思考からサラへと戻る。


「あ、ああ大丈夫。少し考え事をね……」


 サラのことを考えてましたとは恥ずかしくて言えない。


 今日も声だけで我慢———


『ならいい。でもソラは私の大事な人だから死なないで』


 …………………………………………。


 ………………よし、会いに行くか。


「サラ、少し待ってて。今会いに行くから」


『ん?』


 サラの困惑した声が聞こえるが、苦渋の思いで無視をしエレノアに報告する。


「エレノア! 今から少しサラのところに行ってくる!」


「……もう驚きません、いいですよ行ってきても。……最近は私ばかりなので可哀想ですし……ボソッ……」


「ん? 何か言ったか?」


「いえ何でもありません! 行ってらっしゃいませ!」


「お、おう」


 最後に何か言っていたようだが、まぁそこまで問い詰めなくてもいいことだろうと考えて聞くのをやめる。


 俺はエレノアの許可も取れたので、魔法の指輪からとある魔道具を取り出す。


 それは《指定空間転移魔道具(1往復分)》と言うもので、名前の通り1往復だけ、指定した空間まで転移してくれると言う魔道具だ。


 普通の転移では離れすぎていて飛ぶことができないのだが、この魔道具は距離など関係なく、登録さえしていればどこでも行けると言う優れものだ。


 俺はその魔道具を握りしめて言葉を紡ぐ。


「【指定空間転移・サラの部屋】」


 その瞬間、魔道具が光ったかと思うと、光が消えた時にはソラも一緒に豪邸から消えていた。






☆☆☆





 場所は変わってサラの部屋。


 女の子の部屋にしては少し殺風景な部屋に、先程突如光が出現したかと思うと中にソラが入ってきた。


 ソラは感極まったのか、サラに近づいて手を握る。


「こんばんわサラ」


「……ん。こんばんわソラ」


 サラはソラへとゆっくり抱きついた。



---------------------------

ご要望もありましたし、私的にそろそろ出したいと思っていた頃だったのでサラの登場です。

うーんサラかわいい。

 この作品が、面白い! まぁまぁかな? ソラとサラかわいい! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

 ☆1つでも嬉しいです!

 また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などの報告を頂けると作者の励みになります。

 ではではまた次話で。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る