第75話 オアシスはモンスターの巣窟でした

 ———オアシスはモンスターの巣窟だった。


 オアシスを一言で表せばこんな感じになるだろう。


 因みに俺達がついて最初に出会ったlevel:200のモンスターは、デザートベアーと言う熊のモンスターとデュアルクレーターと呼ばれる狼のモンスターである。


 他の地域ではどちらもlevelは100前後のはずなんだけどな……まぁそれでもこの世界の住人に取っては脅威以外の何者でもないのだろうが。


  幾らなんでも上がりすぎだろとツッコミたい気持ちもあるがツッコんだところで弱体化するわけでもないしなぁ……。


 少し気持ちが沈んでしまう。


 それはそうとやはり原初の森の砂漠地帯では、ほぼ全てのモンスターのlevelが上がっているようだ。


 もしくはもともとはここにいるモンスターと同じlevelだったが、違う場所に行って弱体化したのかもしれないが。


 まぁこの際そんなことはどちらでもいい。


 ただlevel:200は俺やエレノアでさえ手こずる相手だ。


 まぁ神気を使えばどうなるかは分からないけど。


 でも神気はスキルが使えないから準備に10分以上掛かるから実戦ではまだまだ使えない。


 だから今は安全なところを探すのが最優先だ。


「エレノア、このオアシスの中で比較的levelの低いモンスターが生息しているのはどこだ?」


 エレノアに聞いてみる。


 感知能力はエレノアの方が俺よりも何枚も上手だからな。


 自分で感知するには相当な時間がかかるので、それなら聞いたほうが早い。


「えっと……少し———いや何十分か待っていてください。今から探してみます」


 エレノアはそう言うと目を閉じて意識を集中させた。


 どうやら本気で感知をしないと把握できないみたいだ。


 まぁこのオアシスはめちゃくちゃ広いからな。


 それにモンスターがたくさんいるから弱いモンスターの反応をキャッチするのはとても難しい。


 俺が本気で30分ほど感知をしてみたら、全体の20%ほどしか感知することが出来なかった。


 なのでいくら俺より優れているエレノアでも相当時間がかかるだろう。


 俺はその間に神気の鍛錬と景色でも見ていようかな。


 勿論無防備なエレノアを護衛しながらだが。


 俺も気配感知を発動させ、辺りのモンスターへと注意を払った。






☆☆☆






 エレノアが感知を始めて1時間がたった。


 エレノアの予想時間よりも遅く、未だに感知は続いており、エレノアの額には汗が滲んでいる。


 それほどまでに頭を酷使しているのだろう。


 少し罪悪感を感じないこともないが、これはエレノアにしか出来ないことなので頑張ってもらうしかない。


 俺は俺でエレノアに攻撃してくるモンスターを片っ端から吹き飛ばしている。


 そして鍛錬の兼ね合いも含めて神気のみを使い、更に相手が死なない力で吹き飛ばせるように神気の調節もしているのだが……。


「———ッッ!!」


「これくらいか!?」


 俺の元に来たサンドクラブと言うlevel:167の蟹型のモンスターを神気の出力をできる限り抑えて殴りつける。


 その瞬間に『ドゴンッ!!』という音と共にサンドクラブの甲羅が砕け散った。


「———ッ!?」


「———……あっ、チッ、もう一回。ふっ!」


「———ェッッ!?」


「…………」


 今度は跡形もなく吹き飛んでしまった。


 このように先程から神気を使うとどれだけ出力を抑えたところで、消滅するか砕けるかほどの違いしかない。


 しかしエイクは圧倒的格下である俺を相手に手加減をしていたし、俺に当たっても消滅も砕けもしなかった。


 これが練度の違いか……。


 改めてエイクがいかに化物で物凄い神気の使い手だったのか痛感する。


 そんな相手に一度でも挑んだ俺って実はすごかったんだな……。


 俺も早くあの領域まで行きたいものだ。


 それには練習あるのみ。


 俺はいくら殺しても無限に湧いてくるモンスターに予め謝罪をする。


「ごめんな、モンスター達。君たちには練習相手になってもらうから。まぁ向かってこなければ何もしないけど」


 しかし当然モンスターに人間の言葉がわかるわけもなく、どんどん押し寄せてくる。


 鑑定で見た感じだと低いモノでlevel:100、高いモノでlevel:180ほどのモンスターがこちらに俺———いやエレノアに向かって殺到し攻撃を繰り出そうとしてきた。


 俺は拳を握り、神気の出力を極限まで落としモンスターどもに気合の声をぶつける。


「【神技:神眼】———よし、それじゃあ始めるか!!」


 思いっ切り地面を踏み抜いた瞬間に地面が弾けて———





☆☆☆

 




 

「ソラ様! オアシス全土の感知、完了しました———ってあれ? どうしてこんな事になっているのですか!?」


「あはは……少しな? それより感知おつかれさん」


「あ、ありがとうございま———じゃなくて! どうして私達の周りにこんなにモンスターの死骸があるのですかと聞いているのです!!」


 エレノアが見た光景は、体に色々な色の液体のかかっているソラとその周りに落ちている沢山のモンスターだった死骸たちとその体液であろう液体が地面にも飛び散っているというカオスな光景だった。


 そのあまりの酷さにエレノアが俺に詰め寄る。


「どうしてこうなったのか教えて下さい!!」


「あはは……———ごめんなさい」


 この後説明という名の弁明に30分を要した。



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 ではではまた次話で。

 

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