第70話 VS霊神鹿?

 今俺とエレノアは、エイクスュルニルと対峙している。

 

 今俺とエレノアは下位種族の中では最強だ。


 しかし相手は上位種族の最強の1角であり、勿論俺たちが敵う相手でもないが何としてでも殺されないようにしなければ……。


 エイクスュルニルからは敵意をビンビンと感じている。


 本当にまずい……このままではマジで殺されてしまう。


 こうなったら切り札を使うしかない。


 くそう……俺も2枚しか持っていないのに……。


「《level down》ッッ!!」


 俺は懐から取り出した札を破る。


 するとエイクスュルニルが突然ふらつく。


 よしッ! ちゃんと効いているぞ!!


「エレノア! 今のうちに逃げるぞ!!」


「えっ!? 戦わないのですか?」


「戦うわけないだろうが! 今の俺たちは《level downのお札》のアイテムを使っても勝てないんだぞ! それにこんな綺麗な場所で戦うなんてナンセンスだ! 少し失礼するぞ!」


「きゃッ———ッ!?」


 俺はエレノアをお姫様抱っこし、【加速】と【全力ダッシュ】を発動させ全力でエイクスュルニルから離れる。


 今は突然力が入らなくなった体に慣れている頃だろうから、まだ追いかけては来れないはず。


 それに今は俺も目にも止まらぬ速度で逃げているので、何とか巻けると信じたい。


 エレノアをちらっと見ると何やら顔を真っ赤にしていた。


 ああ、俺にお姫様抱っこされて恥ずかしいのか。(正解。珍しい)


 しかしエレノアはだいぶ軽いな。


 俺の身体能力が高いと言うのもあるだろうが、ほぼ重さを感じない。


 小説などで羽のように軽いと言う表現がよくあるが、あながち間違いではないように思える。


 まぁ今の俺だと100kg以上ある人間でも全然重たくないんだがな。


 しかし俺は逃げられているのだろうか。


 全く追われている気配がないので、もう逃げられたと思いたいのだが……。


 後ろを向くと100mほど後ろに俺を追いかけているエイクスュルニルの姿が見えた。


 ですよね~~~分かっていましたよ!


 これくらいで逃げれるなんて全くも思っていない。


 だって《level downのお札》は対象のlevelを50下げると言う破格の効果ではあるが、下がってもlevel:250のため、俺と50も差がある。


 俺は木を障害物としてジグザグと走るのだが、惑わされることなく俺にどんどんと近づいて来る。


 俺は仕方なく目に留まった少し開けた場所で走るのを止め、エレノアを降ろす。


「エレノア、今から少し交渉してみるから少し離れていてくれ」


「し、しかし———」


「いやダメだ。大人しくしていてくれ」


「……はい」


 エレノアが何とか折れてくれ、俺から少し離れた。


 俺はゆっくりと歩いて来るエイクスュルニルに話しかけてみる。


「えーと、エイクスュルニルさん? どうして俺達に敵意を向けてくるのか教えてくださいませんか?」


 俺がそう聞くと、エイクスュルニルがフェンリルと同じくテレパシーで俺の頭に直接話しかけてきた。


『敵意を向けていた理由は、貴方達が我が子に何かしようとしているのではないかと思ったからです。しかしそれは私の思い過ごしだったかもしれません。そんなことよりも、どうやって私のlevelを下げたのですか?』


 あっどうやら誤解は解けていたようだ。


 ただどうしてlevelが下がったのか聞きたくて追いかけてきたみたいな感じか?


 それなら先に言ってくれればよかったのにとも思いはしたが、そう言えば俺達めちゃくちゃ逃げてたわ。


 これは完全に俺たちが悪いな。


 俺は無言で俯きながらゆっくりとエイクスュルニルの目の前まで歩いていく。


 ふとエレノアを見ると、エレノアも俯きながらこちらへと歩いてきていた。


 どうやらエレノアともテレパシーを繋いでいたみたいだ。


 そして2人で目の前に立つ。


『あ、あのどうしたのですか?』


 エイクスュルニルの戸惑った声が聞こえたがきっと幻聴だろう、と思うことにして、2人同時に前世の座礼の最敬礼を発動する。


「「申し訳ありませんでした———ッッ!!」」


 これはエレノアにも教えている。


 そう、日本が誇る土下座である。



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 ではではまた次話で。

 

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