第16話 闇夜を切り裂く一閃

 2つの刀の専用スキルを発動する。


「【聖剣気】【魔剣気】」


 その瞬間に体の傷と魔力が回復し出し、力が溢れてきた。


「えっ? こんな効果あったっけ? か、【鑑定】」


 俺はゲームでのスキルの効果との違いに思わず【鑑定】を発動させる。


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聖剣気(聖剣白夜専用スキル)

《通常効果》

・強力な聖属性付与

・斬撃強化

・攻撃力UP(中)

・敏捷性UP(大)


《『魔剣闇夜』装備時》

・体力を永続で1秒毎に10%回復。

・自身の全ステータスUP(中)

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魔剣気(魔剣闇夜専用スキル)

《通常効果》

・強力な闇属性付与

・斬撃強化

・攻撃力UP(大)

・敏捷性UP(中)


《『聖剣白夜』装備時》

・魔力を永続で1秒毎に10%回復。

・全ステータスUP(小)

______________


 

「…………」


 何やねん、このチート武器。


 通常効果でさえ、ゲームでチートと呼ばれていたのに、この追加効果はどう言うことや。


 明らかにぶっ壊れだろ。


 運営もよくこんな武器作ったな……。


 まぁ2つ揃えるなんて俺は1人しか聞いたことないから、めちゃくちゃ難しいんだろうけど。


 ただこの場では物凄くありがたい。


 俺は闇夜と白夜にそれぞれの剣気を纏わせて、一瞬でレッサードラゴンとの距離を詰めて横凪を繰り出す。


「はぁああッ!!」


 すると今では少し肉を切る感触があったのだが、今回は何も感じなかった。


「えっ……? 俺もしかして外した?」


 俺は不安になって斬ったはずのレッサードラゴンを見る。


 するとそのレッサードラゴンは何事もなかったかのように俺へと鉤爪攻撃を繰り出そうとしていた。


 あれっ? 俺本当に外したの?


 と思ったのも束の間。


 レッサードラゴンが動いた瞬間、奴の胴体が綺麗に真っ二つに分かれた。


「えっ……?」


「グルァ?」


 俺と斬られたドラゴンが間抜けな声を出す。


 どうやらこのドラゴンも自分が斬られたことに気づいていないようで、真っ二つになった今でも生きていた。


 俺は思わず刀を見る。


 そこには血1つついていない綺麗な漆黒の刀身と白銀の刀身があった。


 す、スッゲェ……。


 流石公式チート武器、レベルが違いますね。


 でも自分に当たったら自分も一瞬で斬れそうだな……。


 俺は少しビビりながらも次々とレッサードラゴンを一振りで倒していく。


 俺が剣を振るうごとに、漆黒と白銀のオーラが残像を残して真っ赤な血の花を咲かせる。


 いや……側から見たら大量虐殺だよなこれ。


 まぁでもこれは正当防衛ということで、しょうがないよな。


 俺が突然強くなったのを見たシャラグナは、驚きを隠せないようだ。


「ど、どういうことだ……? あの武器がそんなに強いものだったのか? くッ、まずい! 【劣竜召喚】ッッ!!」


 シャラグナは、俺のパワーアップに危機感を示したのか、再び大量のレッサードラゴンを召喚してきた。


 その数は先程よりも遥かに多い、50体ほどだ。


 こ、これは1体づつ相手にしていたら間に合わないな……。よし、ここであれを使ってみるか!


 俺は刀を鞘に戻し、腰を落とす。


 そしてゆったりとした呼吸を意識して、体の力を抜く。


 そしてドラゴン達が俺に攻撃をしてきた瞬間に目を見開いて、《聖剣白夜》の専用スキルを使用する。


「行くぞッ! 専用スキル【闇夜を切り裂く一閃】ッッ!!」


 チンッと言う鞘に刀が収まる音が聞こえたと同時に、全てのレッサードラゴン達の胴体がずれ、ボス部屋の暗闇も綺麗に切り裂かれる。


 全てのレッサードラゴンがたった一度の専用スキルで死んでいた。


《level UP》《level UP》《level UP》


「「なッ!?」」


 俺とシャラグナの驚きの声が被る。


 流石に俺もシャラグナも一撃で50体以上のレッサードラゴンが倒されると思っていなかったからだ。


 そんなバカな……なんだよ、この専用スキル。


 頭おかしいだろ。


 なんでたった一振りだけで50体ものモンスターが死ぬんだよ。  


 そう、俺は物凄い速さで50回振ったわけではない。


 だった一振りだけで、全ての敵を斬れたのだ。


「チッ、眷属では足止めにすらならんか。これは俺が相手をしないとな」


 シャラグナはそう言った瞬間に俺へと接近していた。


 は、速っ!? チッ……ムカつくが流石魔王軍第1席だな……。


 そのままの速度でシャラグナは蹴りを繰り出す。


 しかし俺はその蹴りを刀の柄でガードし、もう片方の刀で反撃をする。


「オラッ!!」


「チッィ!!」


 お互いの刀と拳がぶつかり合う。


 その衝撃でダンジョン自体が揺れ、壁や天井が崩れてき始めた。


 これはまずい……。


 速攻で終わらせないと、俺がうめられてしまう。そうしたら折角勝っても意味がないじゃないか。


 それに気づいていたシャラグナは、意地悪げに言う。


「ははははは! これでお前の逃げ道は無くなった! さぁどうする!?」


「そんなのお前を倒すに決まっているだろうが!」


 俺は【身体強化】を発動して、神速の踏み込みで相手の懐に入る。


 そして一閃。


「シッ!!」


「ぐはッ!? チッ! オラッ!」


 今までとは比にならないくらいの速度での攻撃だったが、ギリギリ避けられた。


 更に俺に向けて蹴りが飛んできたので刀で斬る。


 しかし足には何かの防具をつけているのか、斬ることができなかった。


 この刀で斬れないということは、同等の防具ってことか。


 俺はシャラグナへの警戒をもう1段階上げた。


「さぁとっととくたばれシャラグナッッ!!」


「調子に乗るなよ、人間風情がッ!!」


 お互いの刀と拳が衝突し、更にダンジョンが揺れる。


 今、俺とシャラグナの戦いは佳境を迎えようとしていた。



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 なんか聞いてたら全然3話で終わりませんでした……。

 ですが、第0章は今日中に終わらせますので、お楽しみに!


 この作品が、面白い! まぁまぁかな? 続きが読みたい! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。

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