第34話 チーム分け

 学校2日目にして危機に瀕しています。誰か助けて……

 まぁ、何があったかというと学校の繰り出すボッチ殲滅作戦「グループ作り」(残った奴が先生と組むアレだ)があったのだ。

 僕も中学生の頃にはこれによく苦しめられたものだ。

 

 事の顛末はこうだ。

 まず、先生がこの学校には他にはない授業があると話し始めた。


「ここはハンターを育成するための学校だ。当然、他の学校とは違う要素がある。それがダンジョンの探索を授業でするということだ」


 そう、この学校の特色はこの国で唯一、ダンジョンを保有していてそれを使った授業だろう。


「その授業を早速、今週の金曜日に行おうと思っている」


 まだ数回とはいえ僕はダンジョン探索を経験しているのでここまでは、特に問題はなかったんだ。

 問題はこの次だ。


「だから、この時間でダンジョンの探索する際のチームを組もう」


 先生は4人チームで計4チームを作ってくれと言ってくる。

 このクラスの人数は16人。なんと!余りが出ない!

 けれども油断大敵である。確かに余りは出ないかもしれない。

 だがしかし!例えば赤羅の爆破兄弟と「皇帝」若月に僕というチームになってしまうとなると僕はストレスで胃潰瘍になってしまうだろう。


(これは由々しき事態だ)

 

 と僕が考えながらも何もせず、というより何もできないでいると僕の醜態を見かねたのか灯さんが声をかけてくれる。


「明君もチーム組む人がいないの?だったら私と組もう?」


 この学校でもこうなるのかと絶望していた所に救いの手が差し伸べられる。


「有難うございます!ぜひ!ぜひ!」


 僕が食い気味に返事をすると灯さんはのけ反って後退りしてしまう。


「あっ!すみません。つい…」


 謝ると引いた体を元の体勢に戻してくれる。


「えぇ、ちょっとびっくりしただけだから大丈夫よ。けど、よかったわ、私もチーム組むような人がこのクラスにいなかったもの」


「えっ!意外ですね。灯さんなら友達の何人かいても……」


 と言いかけ僕はここが何処か思い出す。


「あぁ、そういえばこのクラスでしたもんね」


「え、ええ。ま、まぁそうじゃないけど……取り敢えず、あと二人チームに入ってくれる人を探す必要があるの」


「あ、そうでしたね」


 いやぁ1人ボッチではなくなったから忘れてしまったけど4人でチームを組まないといけなかったんだった。


「一応聞くけど、チームに入ってくれそうな人いる?」


「あはは、恥ずかしながら」


「私もいないのよね…………」


 どうしようもないので2人でどうしようかねぇと話していると、灯さんの後ろから更に声が聞こえてくる。


「君達もあと2人を探しているの?」


 灯さんが体をよけ、後ろの声を発した人物の姿が見える。


「僕達もあと2人が足りないんだよ」


 このクラスのリーダー「勇者」の真田 光ともう一人「聖女」の月ヶ瀬 星奈が僕達にチームを組まないか提案してきてくれた。


「おお!丁度ピッタリ4人ですね。チームを組みましょうよ」


 ここで断ってもチームになってくれそうな人の当てもないので僕は二つ返事でその提案を受け入れる。


 こうして、これから行われるダンジョン探索のチームが決定した。


 一つは「勇者」真田 光代表のチーム。メンバーは「勇者」真田 光、「聖女」月ヶ瀬 聖奈、「波動師」来栖 灯、そして僕。


 一つは「爆破拳王」赤羅 轟代表のチーム。メンバーは「爆破拳王」赤羅 轟、「爆破技師」赤羅 十二一、「祈祷師」の人、「狩り人」の人。


 一つは「皇帝」若月 阿吽代表のチーム。メンバーは「皇帝」若月 阿吽、「アイドル」羽衣 七菜香、「重盾操士」の人、「火葬弓士」の人。


 一つは「雹剴操作ひょうがいそうさ」の人が代表のチーム。メンバーは「雹剴操作」の人、「影法師」陰夜見 水鶏、「雷風魔師らいふうまし」の人、「聖剣士」の人。


 この計4つのチームでダンジョンを探索することとなった。(「祈祷師」の人とかは頑張ってスキル名だけは覚えれた影薄い人達の事だ)

 先生は明日、明後日とチームで打ち合わせをしてダンジョン探索をすると言われている。

 最初の学校からの試練「チーム分け」を乗り切った僕は更なる試練へと身を投じていく。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る