第5話 クエスト進行
少し街の中心から離れた閑静な住宅地のいたって普通な一軒家、これが明の住む家である。
そこにスキルの測定やらなんやらのイベントで疲れ果てた明が帰ってきた。
「ただいまぁ」
「お帰りぃ~」
僕が家に帰えると僕の唯一の家族である父親の声がリビングから聞こえてきた。いや、正確にはキッチンからのようだ。
僕の家族は父親しかいない母親と言うべきモノはもう何年も前に亡くなってしまった。
(今日はスキルを手に入れた目出度い日なんだ暗い話は止めだ止め)
「食卓にお皿並べてくれー」
どうやら夕食の準備を終えたらしい父親から声がかかる。
食事の準備が終わり家族一同(と言っても2人だが)席に着く。
普段ならば、ここで「いただきます」と言って食べ始めるのだが今日は違う。
「…」
「…」
机に向かい合って座り、目と目を合わせどちらも動かない。
静寂な時間が続き、頬に汗が伝うのがよく感じられる。
そのまま時が流れていくままだった食卓に不意に一人の男の声が妙によく響く。
「測定の…結果はどうだった?」
「…スキル、あったよ」
その一言で雰囲気は瞬く間に明るくなり、
「そうか!あったのか!よかったじゃないかぁ~!」
「ホントに良かったよ~。もう一生の運使い果たしたんじゃないかってぐらいだよ~」
「何言ってんだ。お前、人生これからだ。こんなところで運使い切ってるんじゃねぇよ!」
「確かにぃ~」
「HAHAHAHA」
「HAHAHAHA」
と、ちょっとしたお祭りムードに変貌した。
「それで――どんなスキルを授かったんだ?」
「それが、なんとさユニークスキルで特別だからまだどんなスキルかよく分かってないんだよねー」
「まぁ、とりあえずスキルがあってよかったじゃないか。今日は豪華なご飯だぞぉ」
その後もスキルの話をしながら食事を食べたりし、食べ終え、片づけをし終えた後、明は真剣な顔をし話しを切り出した。
「お父さん、これもスキルに関わる話しなんだけど実は…」
明は協会職員 黒部 夕の提案を話したうえで、
「僕は、正直元々通うはずだった高校よりもこっちに通いたいと思っているんだけど…」
そうやって、自分の考えを話した。
「…そうか。よし、手続きは任しておけ」
「勿論、高校は一層頑張r…へ?」
「あっはっは、子供がやりたいことを拒む訳ないじゃないか。それに、ハンター協会の高校だと言えば元々行く高校も納得してくれるはずだからな」
「ありがとう!」
「今日は疲れただろうから早く寝るんだぞ」
「うん」
歯磨きやら、お風呂やらを終えて自分の部屋に戻った明は部屋で一人、今日のことを振り返る。
(今日は色んなことがあったなぁ~。お父さんのためにも頑張らないと!その為には…クエストももう一度がんばるか…。そうとなれば、明日は早起きだ。4:30に起きるぞ!)
目覚ましのアラームを設定し、暖かい気持ちで溢れたまま明は眠りに落ちていく。
ピッピッピッと目覚ましの音がし、カテーンの隙間から漏れ出た眩い光が差し込み朝が来たことを告げる。
「うぅん」
『保持者様、朝ですよ』
「うん…うん?うわぁぁっぁ」
…明の朝は騒がしく始まった。
『何故、あれだけ驚いたんです?』
『悪いね、僕は臆病だからいきなり声がしたら驚くんだよ』
僕は着替えながらそう答える。
『恐怖心からの錯乱ですか?…おかしいですね…』
『いや違うよ、ただ至近距離で人の声がすると人に近寄りすぎたって感じで離れなきゃ、ってなるだけだよ。それより朝ごはんを食べてクエストしに行かなきゃ』
今日は昨日できなかったクエストをするために早く起きたんだ一時も時間を無駄にしないようにしないと。
「おはよう」
リビングに入り父さんに挨拶する。
「おはよう。今日は早いね」
「やりたいことがあるからね。朝ごはんも早く食べていい?」
「そうやって、言いながらもう準備しているじゃないか。まぁ、いいぞ」
お父さんから許可を貰えた僕は早速、ご飯を食べ終え素早く朝の身支度を終えた。
「じゃあ、お父さんやりたい事があるから外出るねぇー」
「ん?ちょっと待って、何時に帰ってくるんだい?」
「夕飯までには帰ってくるよー。いってきまーす」
「あっ、ちょっと待てー!あぁ行っちゃったよ。まぁ、大丈夫かぁ」
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