23 目覚め
SIDE:メリア
一先ず薬の調合が終わり、姫様にそれを飲んでもらって……あとは夕方まで様子見という事に。
その間は暫く客室で寛いでいて下さい、と言われたのだけど……イェニーの案内のもと、流石に城の中には入れてもらえなかったレヴィの様子を見ておくことにした。
「レヴィ、いい子にしてた?」
「わうっ!」
レヴィは厩舎の方に預かってもらっていた。
私の姿を見つけると尻尾をブンブン振って出迎えてくれる。
「おぉ、お前さんがそいつの飼い主か?」
「はい、そうです。え〜と、あなたは……」
近くで私達の様子を見ていたお爺さんが声をかけてきた。
厩舎番の人かしら?
……いえ、それにしては身なりが良いわね。
ん?
何か今、イェニーの方に目配せしたような……?
「なに、ワシは唯の隠居ジジィじゃよ。散歩してたらたまたまコイツを見つけてな。見事な毛並みを堪能させてもらっておったのじゃ」
「おんっ!」
あら、随分懐いちゃって……
この子は自分を撫でてくれる人には誰にでも懐いちゃうから……ちょっと節操なくて心配になるわ。
まぁ、モフモフ好きに悪い人はいないと思うけども。
「相手をしてくださったみたいで……ありがとうございます」
「ふぉふぉふぉ……なぁに、お礼を言うのはこっちじゃて。ではな」
そう言って、お爺さんは立ち去って行った……
「結局、誰だったのかしら……イェニーは知ってる人?」
「い、いえ……だ、誰だったのかしらね?」
「?」
何だか歯切れが悪いわね……まぁ、良いか。
治療が終わればここにもう用は無いのだし、もう会うこともないだろう。
そして、暫くレヴィを構ったあとは、案内された客室に戻って『姫様』の目覚めを待つことにした。
SIDE:???
ふむ……あの娘が『森の魔女』の後継者か。
先代からは『全てを受け継いだ』と言っているらしいが、果たして……?
しかし、これから……事態はどう動くのか。
まぁ、ワシは楽隠居の身じゃから、あやつに任せておけば良いのじゃがな……
SIDE:メリア
客室で暫くイェニーとお喋りしたり、読書したりして時間を潰していると、やがて日が傾いてきた。
何度か姫様の様子については報告を受けているが、これまで特に変わった動きはなく。
私の予想通りなら、もうすぐ目が覚める頃だと思うのだけど……そう思っていると、扉がノックされた。
「どうぞ」
「失礼します。……メリア様、姫様が目を覚まされましたとの事です」
これまでも何度か報告しに来てくれた使用人の女性が、ついに待ちに待った報告を持ってきてくれた。
「そうですか、見立て通りでしたね。直ぐに診察に伺います」
そう言って私は再び姫様の部屋に向かう。
姫様の部屋に到着すると、直ぐに寝室へと通される。
すると、そこには……
診察中には閉じられていた、碧の瞳が真っ直ぐこちらを見る。
そして、小首を傾げて可愛らしい唇から愛らしい声が漏れ出す。
「あなたは……だぁれ?」
うわぁ〜……めちゃ可愛い!!
頭をナデナデして愛でたい!
と、内心の叫びはおくびにも出さずに、私は笑顔を浮かべて挨拶する。
「私はメリア。姫様の
「姫様はずっと眠ったままだったのですが……メリア殿が調合して下さった薬のおかげで目を覚ますことが出来たんですよ」
グリーナさんが、そう補足してくれる。
まだ目覚めたばかりなのか、少しぼんやりとしながらも言葉の意味を理解していくのが瞳の色から分かった。
「まぁ……では、メリア様が私を助けて下さったのですね……ありがとうございます」
そう言って、丁寧に頭を下げてお礼を言ってくれた。
どうやら、天使な見た目通り素直で礼儀正しい性格のようだ。
「一先ず薬が効いてくれたようで、ホッとしたわ。とは言え、まだ安心できるか分からないから……ちょっと診察させてもらうわね」
「はい、お願いします、メリア様」
と言うことで、彼女には横になってもらって……寝間着を捲りあげてもらう。
「ちょっと……恥ずかしいです……」
「すぐ終わるから、ちょっと我慢してね……」
くっ……やっぱり可愛いじゃないか!
……と言う内心はやはり表には出さずに、あくまでも冷静を装って身体を確認する。
最初に見たときはもうすぐ心臓まで達しそうだった蛇のような黒い痣は、その範囲を著しく縮小して色も薄くなっている。
「……まだ少し残ってるけど、これくらいならあと少しすれば完全に消え去るでしょうね」
「……姫様は完治なさる、と言う事ですか?」
「ええ。二〜三日は静養が必要でしょうけど、もう大丈夫でしょう」
私がそう太鼓判を押すと、グリーナさんもイェニーも安心して胸を撫で下ろすのだった。
さて、姫様の呪いはこれで大丈夫。
あとは、呪いをかけた犯人をどうするか……ね。
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