運ばれていく予感に

運ばれていく予感に



 運ばれていく予感に

 外気の明滅の奥深く

 淡い大気の部屋から部屋へ

 縫合線を巡る季節の足音を聞いている


    運ばれていく予感に

    仕切り戸を開け風の鳴る


 秘めやかな甘い口ずさみを

 千切り捨てながら

 それでも躰はさらわれていく

 手の残像が躰を支えようとする

 だが それは苦々しい


 微かに 微かに風は季節を育て上げ

 人々の配置を装飾する

 ただひとつ運ばれていく

 かけがえのない予感


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