追え 全力疾走の虹

   追え 全力疾走の虹



          追え 全力疾走の虹


       白昼夢の巨大な横穴に

       頬杖ついて眠りこける

       無頼漢ごろつき

       眉間に切り裂く    

       脱走者のぐしょぐしょの悲鳴


         背中に焼きついた

         振り子時計の影は

         白


       ねじれたフィルムを巻き戻す絡繰からくりに

       眼を見張り

       押し花の 

       千切れた空の浮遊する

       花弁をおしいただいて

       虹が

       フィルムの薄っぺらな

       皮膚と肉の

       塩分ゼロコンマ九パアセントの

       雑踏に

       気紛れ 空中分解


         予感する時間を失った無頼漢の

         二階家に仕組まれた

         屋根裏の小部屋で

         白く染め抜いた

         脱走者の影  

         踊る


       虹とは逆行する無頼漢の背中に

       脱走者の蹴り上げる石 砕け

       機能別ハンダ付け

       神経コード

       引きちぎる


        見ろ

       溶暗の暗がりで猿に混じった無頼漢ごろつき

       青白い バッカスの炎に

       洗礼を受けている


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