オベリスク

オベリスク



        闇から起き上がる男の

        膝まで影を引きずり上げ

        媚を売る顔の眼が

        なんて透き通って白い


        固定照明の不動に偏在する空間の

        影から光線へ 晒しものから陰へ


        あ  と  ん  の

        潤滑油を配給する照明助手の手の間を

        必ず通り抜け

        踊り場に続く階段に

        薄汚れた聖マリアの月経の兆し

  

        愛液の枯れた股座に

        時を告げる砂の袋を押しこんで

        飼い慣らした男どもに

        懐胎の下っ腹 さすらせながら

        領収書の涙沸騰する


        容赦ない子守唄が

        オルゴォルの響きをはりめぐらすと

        ケロイドの横顔を鈍く

        琥珀の溶明に浮かびあがる


        子供 子供した男の顔が

        しなやかな筋肉に包まれる日が来た

        さあ 近親相姦の青白い寝台が用意される


        互いに傷口を舐めあう

        イカルスに連行され

        走りこめ

        第三の共犯を告げる

        パラノイアの袋小路



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