この野蛮の部屋で

この野蛮の部屋で



       晒した皮膚の突っ張った緊張が戻ってくる

       起きざまの定期便で

       とんぼ返りの光線の群れ

       濁らない半透明の光線の

                乱暴な突然さに

       毛穴閉ざし

       ぞんざいな口振り 血管を塞ぐ

         足の重さに追われ

         中枢神経の逆立った今日は

         ようやく独房の覗き穴に 気付く


       なんにしろ

       還元され得るのは

       繰り返しやってくる二十四時間の事実だ

       昨日へ貪欲さを向けるのは

       アルバムを小脇に抱えた

       墓荒らし

       

       燃え尽きもしない炎に明日を見るような

       そんな時代はとうに過ぎた


       お定まりの

       あわただしい引っ越しの後に

       要求だけがまんじりともせず夜を明かす


                弛緩  筋肉の弛緩

               続けざま

              めくるめく閃りを避雷針めがけ

             打ち落とし

            のべつまくなしの弛緩

             弛緩の上にも弛緩

              別のもっとゆるやかな弛緩

               汗を伴い

                沈殿する弛緩


   おお 俺のからだのひからびた 粘土になる


     それなら いっそ

     薄っぺらな童話の本に弄び

     染みたあどけない夢を

     血走った網膜にでも托そうか

     

     燃え尽きぬ炎あおりたて

     判りきったぞんざいさで逃げまどう



          誰?



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