あとがき
お読みくださいましてありがとうございます。
夢月七海様主催の自主企画「#2 問えば響く君の答えbyN.M. 『雨を降らすのは誰?』」を拝見してすぐに参加しようと思ったのですが。
「雨を降らすのは誰?」という問いに答えるのはけっこう難しく。
温帯低気圧や前線のばあい、暖かい空気と冷たい空気が出会って上昇気流が生まれ、空気中の水分が冷やされて雨が降る……のだけど、それは「誰が」という問いへの答えにはなりません。
だから、考えられる候補としては、神様か、「雨男/雨女」か、だれかを恨んで(だれかが、または私が)涙の雨を降らすか、だれかが恋しくて会いたくて(だれかが、または私が)涙の雨を降らすか……というくらいしか思いつかないのですが、それで物語を作るとなるとなかなかたいへん、ということで、一度はギブアップしていました。
ところが、7月18日が近づき、私がマーチングバンドの物語を書き始めたのも『響け! ユーフォニアム』のアニメに出会ったからだな、と思い出していたところで、「そういえば『
瑞城女子高校四月物語:
https://kakuyomu.jp/works/16816927862088507961
雨乞い事件につながる話はまだ書いていないのですが、その雨乞いの話を先に書いてしまおう、と思ったのです。
ちなみに、『瑞城女子高校四月物語』とこの作とはびみょーに登場人物がずれていて、
けっきょく、書き始めたのが遅かったので、最後は「短期集中連載」ということになってしまいましたけど。
「雨を降らすのは誰?」からは問いの重点が変わってしまいましたが、いちおう、7月中に答えを出すことができました。
あと、重点が、最初のほうは(ほぼ完全にインチキの)古代エジプトだったのが、最後のほうはアメリカ(合衆国)に移ってしまいました。まあ、これは、演奏する曲目がアメリカの曲だったので……。
そういえば、それにしても、「ゴンベさん」とか、ある家電量販店の店内音楽とかでなじんでいる曲が、アメリカ南北戦争の北軍の軍歌だったとは。日本語タイトル「リパブリック讃歌」ですが、英語では「Battle Hymn of the Republic」、つまり「共和軍(北軍)の戦闘歌」です。それを知ってからは、その家電量販店に入るたびに「グローリー、グローリー、ハレルヤ!」と歌いたくなってしまっています。
もひとつ、タイトル『遥か昔のエジプト精神』なんですが。
ウィングス(一時期「ポール・マッカートニーとウィングス」)のアルバム『ヴィーナス・アンド・マース』収録の「Spirits of Ancient Egypt」(ライヴ・アルバム『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』にも収録されている)の日本語タイトル「遥か昔のエジプト精神」によります。
歌詞の意味からしてこの spirits は「精神」よりも「霊」であって、歌詞の対訳も「精霊」としていたと思います。「古代エジプトの精霊」ですね。したがって、言ってしまえば「誤訳」なんですけど、その「誤訳」っぽさがかえってこの物語にふさわしいかな、と思って、そのタイトルを引用することにしました。
ここに登場する「瑞城フライングバーズ」はブラスバンドということになっています。
日本語で「ブラスバンド」ということばは「吹奏楽バンド」を指して使われることもよくあります。つまり、フルートやオーボエやクラリネットやファゴットやサクソフォンを含むバンドです。
でも、もともと「ブラス」とは金管楽器のことですから、英語で「ブラスバンド」というともともと「金管バンド」のことです。金管以外にも打楽器は入りますので「金管打楽器バンド」です。この「瑞城フライングバーズ」はその金管打楽器バンドです。フルートやクラリネット、サックス(サクソフォーン)などが出て来ないのはそのためです。
楽器も、吹奏楽も、学校吹奏楽の部活動も何も知らないで書いているので、いろいろおかしなところがあると思いますが、ご容赦くださいませ。
つまり、作者にとっては、ファンタジーの世界なのです。
ということで、この物語はフィクションであり、実在の事件・団体・人物などとは関係ありません。
この6月から7月にかけては、もともと仕事のスケジュールがタイトだったうえに、一つの仕事が「それやるんだったらこっちもやってよ」的に膨れ上がり、さらに春先に引き受けた別の仕事がとんでもないこじれ方をしてたいへんなことになっていました。片方の仕事は10月ごろまで持ち越し、片方はやっといちおうのカタがついて、この物語をここまで書き上げることができました。
仕事が膨れ上がる過程やこじれていく過程は悪夢のようでしたけど、まあ、いつか小説の素材になるか、と思って……。
「他人ごと」として見れば、それなりにおもしろい、笑えるプロセスでしたしね。
この物語はここで終わりますが、「瑞城フライングバーズ」の物語や、この地域の学校の高校生のお話はこれからも続いて行きます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
清瀬 六朗
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