聖男?として召喚された俺 男にばかり惚れられ武士団長から婚約破棄されて追放。魔物をテイムし過ぎて尻子玉が賢者の石になってたからって呼び戻してももう遅い、拙者のガチムチのキンニクを喰らえ

@piyopopo2022

第1話ゲーム内転生

 プロローグ

 

「聖男よ、貴殿との婚約破棄をここに宣言させて頂くっ!」


 武士団長で俺様王子系の青年が、突然俺に婚約破棄を言い渡した。


「あ、うん、男同士で結婚する気はないから別にいいんだけどね……」


 武士団長には意中の寵童(ちょうどう)がいたらしく、俺から覆い隠すようにして抱きしめている。


 領主から聖男?との結婚を言い渡された後も、武士団長だけは良い顔をしなかったから、何か裏があるだろうとは思っていたが、まだ前髪も上げていない少年(15歳以下)と良い仲だったとは、これは事案発生だ。


 ここで悪役令嬢ものなら国外追放になるか、今までの悪行を論(あげつら)われて死罪。相撲令嬢物なら城内場所が執り行われる所だが、行事も土俵も出てこないので角力(すもう)は始まらないようだ。


「貴殿にはあの出来が悪い弟をくれてやるっ、一緒に出て行くが良いっ」


 以前長男から暗殺者を送り込まれ、あと少しで命を落とすところだった団長の弟。俺が命を救ったので大丈夫だったが、この次兄も邪魔者扱いをするのか。


「さあ、貴方には餞別にこれを差し上げましょう」


 笑顔のままの副団長が、不機嫌そうに餞別の金子や旅装束を差し出してきた。相変わらず食えない男だ。(性的な意味で)


「貴殿からの恩は忘れぬ、だが今は別れの時だ、いつかまた相まみえよう(性的な意味で)」


 案外涙もろい一番隊隊長からも別れの言葉がでた。これは追放を受け入れないとなるまい。


 一体なぜこうなってしまったのだろうか?



 3か月前


 俺はどこにでもいる普通の高校生タケル。


 よく「貧弱なボウヤ」と笑われることもあったけど、このブルー〇ーカーとアポロエキ〇サイザーで鍛えた体で、今では誰にも笑われることもない。


 後はジャンプの後ろのページにある通販で、伝説のメリケンサックか十聖剣でも手に入れれば最強だ。(車田作品)


 俺は別にブラック企業勤務の過労死寸前でもなく、無職透明のヒキコモリニートこどおじ中年でもなく、クラスメイトからイジメまくられてトラック自殺寸前のボッチブサイクでもない。


 でも子供の頃から掃除すらサボらない、教師や親に何か言われる全部とハイハイと聞いてしまう損な性分で、すぐにサディストに目を付けられて因縁を付けられてしまう。


 フツメンのストレートで女の子が好きなんだけど、ちょっと淫夢厨で野獣先輩のビデオを動画サイトで見たり「これTDNやないか~、たまげたなあ~」と言うビデオや、拳銃を奪ってからは一転攻勢な「ヨツンヴァインになれよ」なビデオに興味があったり、ボッチキャンプで有名な芸人がホモビに出ていた頃のブツを探していたり、ガチムチパンツレスリングとキンニクが大好物だったりするだけのどこにでもいる普通の高校生さ。


 最近マイブームなのはVRMHOMOゲームの「ハラキリサムライ、バンザイニンジャHG」だ。


 題名を見た通りガイジンサンが作ったゲームらしく、ところどころ設定がおかしくて、登場する戦国武将や有名人の時代考証がバラバラだったり、日本なのにヨーロッパや中国みたいに城砦に囲まれた都市があったり、ポリコレを気にしたのか女性のNPCやゲーム内アバターが全員、岩かジャガイモみたいな顔してるブサイクだらけで、和ゲーみたいに美少女がビキニアーマー着てるようなのが出て来ない。


 所謂「ジェダ*劇」なのだが、もう少しで伏字もなく表記してしまう所だった。出発は映画監督の趣味だったとしても、今では全ての権利をディ*ニーが買い取って持っている。


 惑星の水星でさえ例の黒鼠に似たクレーターが3つ重なっていたので裁判所で負けて、水星の権利がすべてデ*ズニーの物になったと言われるほどの悪名高い会社の物だ。


 もう少しで世界一費用が高い裁判所に召喚される所だった。


 ゲームの設定としては、戦国時代の戦乱が余りに酷く、各地で地獄の蓋が開いてしまい、地獄の魔物や鬼が現世に溢れ出してしまった異世界日本。


 姉妹品として古代ギリシャのアレクサンダーグレートやローマとカルタゴ、9カ国が合従連衡して争っている古代中国、チンギスハーンの軍勢が訪れてしまったロシア東ヨーロッパ、十字軍に侵攻される中東、100年戦争をしているヨーロッパや、カエサルが来てしまったガリア(フランス)なども出ているようだ。


 各国ごとにサーバーが違い、国外からの接続は文化盗用として余り歓迎されていない。


 オフラインでプレイする時は自分で作ったキャラだけでパーティーを組んでみたりソロで挑んだり、オンラインではほかのユーザーとパーティーやクランも組める。


 俺はオフラインプレイが多かったが、初級職の前衛を育ててからは、魔法が使える回数が少なすぎるので全員が魔法を使えるように目指した。


 後衛の回復魔法が使える僧侶から攻撃魔法が使えるサムライと言う上級職に、魔法使いから回復魔法が使える騎士職に、全ての魔法が使える賢者からニンジャと言った具合だ。


 そうしないと深いダンジョンに潜る前に魔法が尽きてしまい、ダンジョンの底や帰り道で苦しむことになるからだ。


 どれも一長一短で捨てがたいが、この世界のニンジャは何も装備していない状態が一番装甲が固く、麻痺やクリティカル、睡眠や石化の異常耐性にも強いのが最高だ。


 今日もニンジャ候補の賢者を育てる旅に出よう、俺の賢者は公式のバグ技で鍛えてある。


 バックアタックを喰らったときに前衛の経験値が後衛に着くバグで、既に何人かレベル2500を超えてる。


 全ての魔法も覚えきってレベル上げも済ませたので、そろそろニンジャにしてしまうのも良いが、普通の転職だとレベル1からのやり直しになるので転職の宝珠も頭数が揃うように探している。


 賢者からニンジャ軍団を作るのも悪くない。サムライや騎士にする時は抜け道がないが、賢者からニンジャになる場合だけは経験値が大量に必要なので抜け道が用意されている。



「心清き者、聖男よ、聞こえるか?」


 NPCからの呼びかけが聞こえる。セイダン? 核地雷(セイダム)の親戚か?


「お主は聖女のような立場、聖男として選ばれた」


 乙女ゲーの聖女や、なーロッパ世界で貴族の子弟からなる騎士団の美男からちやほやされ、失われた技術で作られたポーションとか魔法具とかアミュレットを作ったり、異次元の効果を持つ回復魔法を駆使したり、黒竜とか魔王とかフェンリルとかモフモフをテイムして従魔にして、追放されると喫茶店や食堂を経営して料理したり薬屋になったり教会の孤児院でスローライフする奴だ。


 色々と浮名を流した後に、王子とか勇者とのトゥルーエンディングを迎えると、裏シナリオの闇属性の王子とか魔王も攻略可能になる。


「せ、聖男?」


 何かセイントマッスルみたいに全裸のまま旅して、筋肉ですべてを解決したり、筋肉の絵を描いてから後でストーリ-を決めるような話だろうか?


 それとも休暇中のキリストとブッダが下町のアパートでルームシェアする話で、大英博物館に宗教的平和の証として展示されていたり、偶像崇拝禁止のイスラム教で預言者ムハマンドを描いたりするとイスラム寺院から処刑宣告が出て実際に殺されるのでムハマンドは出演させられない話だろうか?


「お主をこの世界に聖男として召喚することに決めた、来るが良い」


「ああっ!」


 モニターが光に包まれ、まるでゲームのラ〇ネ&40をクリアした勇者のようにモニターの中に引きこまれた。



「何もない……」


 地平線まで何もない白い世界が広がり、遥か彼方に五本の塔が立っている。


 蝕が起こったような肉色の世界ではなく、手のひらぐらいの色をしている。


「聖男よ、これからお主にはこの世界を救い、日本とアジアの独立を保って貰いたい」


「はあ?」


 何が起こったかわからない状況で、背中から後光が差している神か仏のような存在の言葉を聞く。


「こちらの世界では、お主らが住んでいた地獄の三丁目と、お主らが地獄と呼んでいた地獄の四丁目が地続きになってしもうた、これを元通り切り分けてもらいたい」


「え? 俺が住んでた場所って地獄の三丁目だったんですか?」


「その通り、何を成し遂げようとしても必ず失敗する地獄で煉獄、大切なものは必ず失われ、大切だと思っている子供や家族は愚にもつかない愚か者で夫や父親を蔑む者ばかり、周囲の人間も全て愚か者の集まりで屑ばかり、必ず人生の全てを失敗して台無しにしてから死ぬ場所だ」


「そ、そうでしたか」


 余りにも身も蓋もない言い分にドン引きしながらも、どうにか平静を保つ。俺が住んでた世界って地獄の三丁目だったんだな。


「そして、この世界にもイギリスと言う鬼畜生が住む国がある。アメリカ大陸やオーストラリアから原住民を駆逐し、民族浄化でほぼ絶滅させてしまい、労働力が足りないからとアフリカから黒人を奴隷として送り込んでいる。他にもインドやアジア、中東アフリカを植民地として奴隷労働を強いているこの世の鬼だ。他にもスペインポルトガル、オランダやフランスと言った国も植民地を支配し現地人に苦痛を強いておる。奴らの侵攻から日本を守り、可能ならばアジアの国を開放してやって欲しい」


「俺なんかに? 一人でですか?」


「他にも同志を送り込んでおく、次の世代、孫文やスハルト、アウンサンといった英傑を日本で活動させるまで、せめて独立を保ってくれ」


「はあ」


 気の抜けた答えをするが、こんなことまでハイハイ聞いていると命がいくらあっても足りない。


「普通の高校生には無理です」


「うむ、お主は聖男として、育て上げた賢者の魔法と、忍者としての力を授けよう。成功した報酬としては、お主を地獄から引き上げてやろう、遺伝の内容も良くしてやる。それでは頼んだぞ」


「ええっ? まだやるなんて一言も言って……」


 そこで視界が光に包まれると落下している感触があり、どこかのビューティフルドリーマーみたいに夢の終わりには落下してから目が覚めるオチになった。


「うわっ、くあせふじこっ!」


 次第に体が大きくなり、着ているものがビリビリと破けて空気に持っていかれ全裸にされる。


 ここで女の名前でも呼んで、最後に鬼娘の名前を呼ばないと目が覚めないのか?


「アーノルドシュワ*ツネッガーッ! シルベス*スタローン! ビリ*ヘリントン、野獣先輩、森のクマさん、ヒロ*ーーーッ!」


 俺はキンニクアイドルやホモビのスター達を思い起こし、名前を知っているだけ連呼した。

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