第11話,奉仕種族は何に奉仕してるのか
どうも、3歳になろうとしているグリムです!
この世界に来てからと言うもの時間が経つのが早い早い。
楽しすぎてね!
この2年で僕も多少ステータスが変わりましたよ!
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【グリム・シュガーボックス】
Lv.4(22/40)
種族/
勢力/
能力値
HP=15/15(5)
MP=35/35(15)
STR(筋力)=19(15)
CON(持久力)=19(15)
POW(精神力)=23(15)
DEX(器用)=19(15)
INT(知能)=22(15)
AGI(俊敏性)=19(15)
CHA(カリスマ)=11(+1)
【スキルツリー】
・『ハーフリング』★
・『
・『
・『歩法』(new!)
・『呼吸法』(new!)
・『能力値増加(小)』★(new!)(CHAを除く全能力値アップを取得する事で統合された物)
・『初等魔法』★(new!)
・『呪術師見習い』(new!)
・『付与術師見習い』(new!)
【称号】
・
・魔術の素養(new!)
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スキルの取得によって入った経験値でレベルもちょっと上がりました!
でも能力値については現状掛けられる精一杯のステータスアップの補正を付けても他種族の同レベル帯の素の能力値に負けているという事実、、、。
まぁ、ステータスアップの補正は実は種族によって(正確には元のステータスによって)補正の度合いが違うからしょうがないんですけどね!
誤算だったのは、ゲームの時と違いスキルの取得の進捗は遅々としたものだってこと。
リアル時間で二年もあれば、とても全部は把握できないほどスキルを持ってることなんて当たり前の事だったから甘く見ていましたけど、現実にはそうはいかなかったんですよね。
例えば『歩法』のスキルの取得方法はいろいろあるけど、一番簡単なのは「すり足」(ゲームではシフトキーを押しながら歩く)で5キロ分歩くというものだった。
ゲーム時代ではキャラのステータスによって多少の上下はあっても10分程度で取得できるお手軽な物だったのに、現実で5キロ歩こうとしたらそうはいかない。
赤ちゃんの足ではそれこそ丸一日かかってしまった。
この様に、ゲームでは簡単だったけど現実となると難しい、ということは山のようにあって二年かけて習得できたスキルツリーはこれだけである。
ぶっちゃけなんでこの世界でこんなにスキルの習得方法が広まっていないのかは殆どこれがネックになってるんだと思う。
スキルの習得って基本的に傍から見ると何の意味のないようなことを延々やり続けるという作業が殆どで、遊びだからこそ試してみるっていうことはあっても、現実に仕事とか生活しながらそれを発見するのってちょっと無理があると思うんですよね。
流石に僕でも、何も知らない状態でやるかって言われたら絶対やらないと思いますね。
まあこれについては時間はあるんだし気長にやりましょう!
あとは生活においても進展がありましたよ!
1歳の誕生日を迎えたすぐの頃に仲良くなった傭兵の皆さんが良くしてくれるから、あれから外の世界についての理解が深まりました。
彼らには本当にいろんな事をしてもらってます。
特定のアイテムを探してもらったり、スキルの検証に付き合ってもらったり、1人では取得できないスキルツリーの獲得を手伝ってもらったり。
その報酬として僕があげるのは基本的なスキルツリーの情報程度であり、僕としてはそんなものでいいの?って思うんですけどそれ以上は受け取ろうとしてくれない。
全くもっていい人達としか言いようがないですね!
そんな彼らと触れ合っているとだんだん疑問が膨らんでくることがあるんですよねー。
と言うのも、彼らはどうも僕ら
種族的に彼方からしたら恐るほどの脅威は小人族には断じてない筈なんだけど、何故か皆さん警戒している。
それはやはり僕たち小人族が太守様と呼んでいる存在と関係あるらしい。
「明日になったらグリムちゃんも3歳ね〜」
「早いなぁ、俺の息子がもう太守様に御目通りするのか」
そして明日、僕は3歳になります!
3歳という年齢は小人族にとってとても重要な意味を持つ。
「いいか~グリム。太守様にはお行儀よくするんだぞ!何時もみたいによくわからない話をして困らせないようにな!」
僕のスキルの話をお父さんとお母さんはいつも変な話として聞き流す。
僕は勿論ですけど傭兵さん達だけじゃなくて、この村の皆や両親にスキルツリーの取得方法を教えようとした。
そうすれば、少しでも脅威にさらされる可能性を減らせるし自由に村の外に行けるようになると思ったから。
でも誰もそんなこと望んでいないようで、それよりも変わらない事に価値を抱いている様でした。
お父さんが言うには、僕らは今よりずっと昔に太守様に愛されたそのままの自分たちで居なければいけないからと言う事でした。
小人族たちは太守様に愛され守られて生きているけど、小人族にはなぜ自分たちが太守様に愛されたのかが分かっていない。
だから自分たちの何かが変わることでその愛を失うのが怖いんだと思います。
一人や二人の変わり者が現れるのは止めようがないけど、種族全体が変わる事は受け入れられない、そんな価値観。
それが小人族という生き物なのだと実感した。
やはり僕はこの村で生きていくことは出来ない。
両親も僕がそう思っていることを理解してくれているようで、あまり僕の奇行(彼らから見れば)については深く触れない。
僕を愛してくれているけど、僕という異物がこの村に残り続けることを望んでいない節が見受けられるんですよね。
「太守様に御会いしてから決めても遅くない」
僕がいずれはこの村を出て外の世界を見たいと言った時、そう言い含められた。
僕の決意は固いけど、太守様に会うこと自体は楽しみです。
明日の事に僕はワクワクとドキドキを胸に、ぐっすり眠るのであった。
そして翌朝、すっきりと目を覚ました僕の部屋に集まった家族がお仕着せのような服を僕に着せて、どこから持ってきたのか
そして籠の戸は開けられるまで中から開けない様にと言い聞かされた。
ぴったりと駕籠の戸を閉められると「おとなしく待っているのよ」とお母さんのくぐもった声が聞こえてしばらく放置された。
暫くするといきなり駕籠がぐんと浮き、ゆらゆら揺れながら移動し始めた。
音と気配から駕籠の前後をなにか大きな生き物が持って移動してるんだと分かった。
暇なのでこっそり服に忍ばせていたトカゲのクロヤキと遊んでいた。
調教士のスキルツリーがカンストしたことで出来ることが増えていたので、色々芸を覚えさせたりしていた。
そうやってクロヤキと遊んでいると、いつの間にか周囲の匂いが変わっている事に気付いた。
青臭い匂い。
湿度も高い。
恐らくは森の中を進んでいる。
僕が生まれてからの記憶に目の届く範囲に森などなかったことから、結構な距離を進んだことが分かる。
いつの間にかかなりスピードが出ているようだ。
そうして家を出てから1時間ちょっとかな?経ったとき、不意に駕籠が止まった。
地面に駕籠の底がゆっくりと降ろされたことで目的地についたことが分かった。
「…なにかいる」
この駕籠の外に、すぐそこに何か巨大で禍々しいものがいる。
ぴったりと閉じているはずの戸の向こうから感じる存在感に思わず冷や汗が出る。
『お前たち、ご苦労だったね。さて、新しいワタシの子の顔を見せておくれ』
大気そのものが震えるような、それでいてそっと囁くような声が聞こえた。
それは掠れていて古木が軋むような響きだった。
その声のすぐ後に、戸が開かれた。
『おや、まあ。玉のようにかわいい子じゃないか、食べてしまいたくなる程だよ』
そう言ったのは山と見紛うほどに肥え太った巨大な虫の化け物だった。
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