暗黒の街

神羅

序章   暇な主人と苦労まみれの仕え人

 その店は周りに埋もれるようにしてあった。

「ここが…『何でも屋』」


 「あ〜暇。ねえ、リンド楽しいことない?」

「ありません。自分で探してください。」

「え〜そんなこと言っても、楽しいことといえば、家でも、村でも、街でも、国でもいいからぶっ壊すことしかないんだけど〜」

リンドは溜息をついた。この主はなんてことを言うんだ。

「やめてください。お願いですから。貴女様がいうと、冗談に聞こえません。」

「だって本気だもの。」

サラリと言われた。最早、溜息をつくしかない。と、そのとき、何かを捉えた。

「アンジュ様。楽しいことが起こりそうですよ。お客様です。」

「ふ〜ん、楽しそうな内容だったら出るよ。じゃ、奥にいるから。」

「あの街の血をひくものですよ。」

アンジュの動きが止まった。そして、一つ大きな溜息をつくと、元の位置に戻った。

「最初は宜しく。」

「はいはい。わかっていますよ。」

リンドは溜息をついて、客を迎える準備をした。

 ドアが開く。

 全てはここから始まった。

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