ろくでなし二人、滅亡しかけの世界へ旅に出る
蒼馬
坂道
僕達は歩いている。
終わりの見えない坂道を。
私達は歩いている。
とにかく暑い夏の炎天下の坂道を。
降り注ぐ日差しが私達の体力を蝕んでいく。
それでも僕達は足を止めない。
止めたらもう歩けなくなるとわかっているのだろう。
なんでこの道を選んだのかおそらく隣の女は文句を言いたいはずだ。
文句は後でいくらでも聞こう。おそらく今はそれどころじゃないはずだ。
後でしっかり謝ろう。
この道はだから嫌だと隣の男を今すぐに殴りたかったが後で殴ることにする。
今殴ったら私は多分力尽きる。この男に哀れみの目で見られるのは嫌だ。
後で絶対殴る。
さあ、今はとにかくこの坂道を登り切ろう。
そしたらきっと涼しい風が吹き抜ける。
滅亡しかけているこの世界を、駆け抜ける気持ちのいい風が。
ろくでなし二人、滅亡しかけの世界へ旅に出る 蒼馬 @ikumizawa
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