第58話
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名前 浦間 透
性別 男
年齢 17
レベル 21
生命 2
身体 2
精神 2
技能 1
所持装備
ナイフ(改)
手投げ矢(改)
念動弓(改)
所持スキル
【飛躍】【覗き】【魔眼】【異次元ボックス】【改竄】
所持従魔
『シフォン』『マジェリア』『レイン』
所持マップ
《大蛇の洞窟》
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「…………」
食堂で夕食後の【異次元ボックス】にて、俺はどれくらいレベルが上がったのか気になって自分のステータスを確認したわけだが、一つしか上がってなかったので驚いた。
おいおい、渋いなんてもんじゃないぞ、これ……。経験値のテーブルは一体どうなってるんだ。今まで倒した中で一番レベルの高いバルーンスライムを倒したこともあり、最低でも三つは上がるんじゃないかと思ってたが見込み違いだった。
やはり、俺たちにレベルを上げてほしくない何者かの手によって細工を加えられているとしか思えない。
「ほんっと、ケチねえ」
「うみゃ~……。こんなのありえないですよ~」
「何これ~? 変なの~」
「まったくもって、妙でございますなあ」
俺のスマホを覗き込んでる平野、シフォン、マジェリア、レインもこれには呆れた様子。異世界の住人ですら眉をひそめているわけだから、相当におかしいことなんだろう。
ただ、ここまで露骨なことをされると逆になにくそと燃えてくるのも確かだ。相手がその気ならとことんやってやろうじゃないかと。
いじめの黒幕、黒竜団、黒騎士、黒田龍一といった黒々としたグロテスクな連中を相手にしなきゃいけないってことで先は長そうだが、前回でも意識したように一つ一つ、今できることを地道にこなしていくだけだ。塵も積もれば山となるで、無名の殺し屋にすぎなかった俺が、飛ぶ鳥を落とす勢いだった黒田を仕留めたように。
「とにかく、やるだけだ。なあ、みんな――」
「「「――くー……」」」
「…………」
なんてこった。俺の肩の上にいるレイン以外、気付けばみんな寝てしまっていた。そういやもう夜の九時をとっくに過ぎちゃってるのか。それなら仕方ない。子供はおやすみする時間帯だ。
「レインは寝ないのか?」
「私どもが就寝するのは、ご主人様が眠ったのを見届けてからでございます」
「なるほど。そりゃ忠犬……いや、
「お上手でございます」
俺はアドレナリンが出ているせいもあるのかまだ眠くないので、レインを連れて夜の学校内を散策することにした。
シフォンたちがいないこともあって少々寂しいが、夜の学校も独特な味わいがあっていいものだ。
でもやっぱりこういう時間帯なだけあって閑散としてるな。みんな就寝するために各々の寝床や、草原系の安全なマップ、あるいは避難所も兼ねている体育館のほうに向かったのかもしれない。
途中で会話している生徒たちもいたので、その近くで【異次元ボックス】を使い、会話を盗み聞きしてみることに。
「あの黒騎士、マジヤバかったなー」
「うん。僕、ちびりそうだった……」
「俺も俺も。命が幾つあっても足りなくね? あれ……」
「てか、あれって誰かの従魔の可能性が高いんだろ? あんなのがウロウロしてると思ったらたまらんよな」
「なんかあったらさ、すぐマップに逃げ込もうぜ」
「「「「おうっ」」」」
「…………」
なるほど。やっぱり黒騎士が暴れ回ったばかりなだけあって、やつの話題が中心になるよな。俺たちは同じ要領でボックスを使ってほかの生徒たちの会話も聞いたが、ほぼ同様のことを話していた。それだけインパクトが大きかったってことだ。
ただ、一つ気になることがある。それは、マップの中へ逃げ込もうと提案してる生徒が多いということだ。
もし、イニシャル連中のやつにこの手で逃げられたら対処のしようがないんじゃないかと不安に思ったんだ……って、待てよ?
「レイン、一つ訊いてもいいか?」
「はい、ご主人様。なんなりと」
「空間を齧って穴を開ける特殊能力『空間穿孔』についてだが、誰かが所持マップに逃げ込んだとして、そこでその能力を使ったらどうなる?」
「……ふうむ。断定はできませんが、おそらくそのマップの中へ入れるでしょうな」
「おおっ、やっぱりか……」
俺たちは思わぬ抜け道を探し出せた格好だ。もしこれを利用できれば別マップに逃げられても追い詰めることができる上、そこへ入れるはずのない人間が入るってことで、時空の番人の目を逃れてスムーズにレベリングができるようになるかもしれないぞ……。
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